取材=古後登志夫 構成=鈴木健一郎

大濠で味わった「もっとできたはずなのに」という思い

大濠高校での3年間を振り返ると、入学当初はそれほど期待されていたわけではない自分が認められたのはすごくうれしいです。同級生は全中やジュニアオールスターでバリバリ活躍したすごい選手ばかり。それでもアメリカで培ったハンドリング技術があって、活躍することができました。

U-16でもトーステン・ロイブルコーチの下ですごく活躍させてもらって、U-19まで生き残っているわけです。このU-19が世界に出るチャンスを得られたことは、すごくうれしいし達成感があります。今はまだ世界でアピールするだけの力がないと感じているので、これからU-19ワールドカップに向けて頑張りたいです。

もちろん、悔しいこともあります。自分の持っているポテンシャルをウインターカップなどの大舞台で見せられませんでした。僕は体格にも恵まれているし、このサイズではボールハンドリングも絶対にあると自信を持っていいはずで、「もっとできたはずなのに」という後悔がすごくあります。

ウインターカップの北陸戦(83-86で敗戦)でも、ガードがテンパっている時に、キャプテンの自分がガードの代わりにオフェンスの指示を出せばよかったのに、自分の役割に固執してしまって、持っているものを出せないままでした。失敗するのが怖い、という部分もあったと思います。すべては言い訳になってしまいますが、そういう気持ちがあります。

大濠の後輩たちには頑張ってほしいです。2年だと井上宗一郎は身長が2メートルあって、自分もそれだけあったらなと思います。彼にはストレスを溜めることなくノビノビとプレーしてほしい。2メートルある選手が縮こまってプレーしていちゃダメなので。監督に何を言われようと気にせず、それを吹っ飛ばすぐらいの思い切りの良さでやってほしいです。

1年生の土家大輝は全中ですごく活躍して、ジュニアオールスターでMVPになった中学のスター選手です。高校に入って「俺は全然伸びていない」と落ち込んでいるのですが、決してそんなことはないんです。大濠の先輩たちはみんな日本代表とかに入っていて、そこで1年でいきなり活躍するのは大変なことです。だから自分の可能性を捨てずに頑張ってほしい。福岡第一も負ける相手じゃないと思っているのですが、2敗しています。だから絶対に勝ってほしいです。

自分の殻を破るようなメンタルを探したい

バスケ以外でアメリカで見つけたいのは、コービーの話やウインターカップの悔しさでも話したように、自分のポテンシャルを全部引き出せるようになるためのメンタルです。ほとんどはバスケのことなんですけど、授業でも答えは分かっているのに間違えるのが怖いから手を上げられないとか、ありますよね。そういう間違いを恐れない、チャレンジというか、自分の殻を破るようなメンタルを探したいです。

『スラムダンク奨学金』に応募するのも、合格してアメリカに飛び立つのも同じです。「失敗したらどうしよう」という怖さはあります。でも僕は、小さい頃にアメリカに住んでいたというのもあるのですが、思い切って飛び出していきます。

僕は挑戦を恐れて後悔しました。そういう後悔はもうしたくないし、みんなにも後悔してほしくない。『スラムダンク奨学金』に応募するかどうか迷っている人には、思い切って応募してほしいと思います。

『スラムダンク奨学金』でアメリカンドリームを追う鍵冨太雅
vol.1「アメリカでバスケを」という夢を実現させるために
vol.2「バスケと勉強をしておけ」という環境で勝負の1年間
vol.3~挑戦を恐れて後悔するようなことは、もうしたくない
番外編
『スラムダンク奨学金』でアメリカに挑戦する鍵冨太雅の父は元JBLの選手、親子で1on1をする『リアル沢北親子』だった!

田臥勇太選手が出演し『SLAM DUNK』を語る!
NHK-BS1「ぼくらはマンガで強くなった」
放送日時:3月31日(金)午後11時(予定)
番組HP:http://www4.nhk.or.jp/boku-man/
スラムダンク奨学金
http://slamdunk-sc.shueisha.co.jp/