佐藤HC、「ニックを何としても次のラウンドに連れていきたい」

天皇杯クォーターファイナルで川崎ブレイブサンダースが長崎ヴェルカと対戦。ロースコアのまま最後までもつれる激闘となったが、終了間際にロスコ・アレンが逆転のレイアップを沈めた川崎が64-62で劇的な勝利を収めた。

試合の立ち上がり、川崎はトランジションから守備のズレを生み出してのイージーシュートを決め7-0のランに成功。さらにこのクォーターだけで11得点を挙げたアレンの活躍により24-14と先行する。だが、第2クォーターに入ると、川崎はオープンシュートの確率が落ちたことに加え、個人での強引な攻めが目立つ。一方、長崎が効果的に外角シュートに決めることで川崎のリードは5点に縮まって前半を終える。

後半に入ると、互いに相手のディフェンスの強度に苦しめられてボールムーブが停滞し、ロースコアの展開となる。そして一進一退の攻防が繰り広げられるが、残り45秒に馬場雄大の3ポイントシュートで、長崎が62-61と勝ち越す。直後、川崎はオフェンスで得点できず崖っぷちに立たされる。しかし、残り29秒からの長崎のポゼッションを懸命のディフェンスで抑えると、リバウンドを取ったアレンが自らボールプッシュし、そのまま敵陣へと切れ込んで起死回生のレイアップをバスケット・カウントで決め残り2秒で逆転する。

長崎がすでにタイムアウトを使い切っていたこともあり、アレンは外す予定でフリースローをバンクショットで放ったが、まさかの成功。最後に予想外の状況となったが、なんとか逃げ切った。

川崎は、2024年最初の試合となった1月6日のアルバルク東京戦でニック・ファジーカスが全治6週間見込みとなる膝の負傷で離脱。オフェンスの要を欠いた影響もあり、オフェンスが単調になった部分はあったが、チーム全員が高い集中力で守り続け、最後まで強気でアタックし続けたことで勝利をつかんだ。

川崎の佐藤賢次ヘッドコーチは、試合終了直後に両手で顔を覆い、その後で感極まったような表情を見せていた。「12月、1月と本当に苦しく、試合に勝つことやチームを作って一つひとつやっていくというのは大変だと感じています。その苦しい作業の中で、良い試合が出来て報われた。あとはニックを何としても次のラウンドに連れていきたいとか、色々な想いが込上げてきた瞬間ではありました」

「ニックがいないところで、チーム全員が少しずつステップアップしないといけない」

このように気持ちを明かす指揮官は、「一発勝負なので今、できることを全て出すしかない。終わったとあとに、やり残したことがないように全開でいって、疲れたら交代して、次の人がコートでエナジーを出していこうと伝えていました」と続け、「とにかく全員でバスケットをするということが今日は出来たと思います」と勝因を語った。

ゲームウィナーを沈めた25得点のアレンと共に、際立つ活躍を見せたのが長谷川技だ。持ち味の堅守に加え、第4クォーター残り3分半と2分半、ともに長崎に3ポイントシュートを決められリードを許した後、すぐにひっくり返す値千金の2本の長距離砲を沈めた。長谷川の得点がなければ、アレンの決勝弾もなかったと断言できる勝負強さを見せた。

長谷川は、こう試合を振り返る。「ニックがいない厳しい状況の中、第4クォーターで相手に流れが行きそうな時、全員で戦い、チーム全体で我慢ができました。チームのルールを守って勝ち切ることができてよかったです」

そして、自身のプレーについて「今日に関して前半は外していましたけど、シュートタッチに関しては良い感覚でした。後半はしっかり打ち切れたことで、2本入った結果に繋がったと思います」と語る。

佐藤ヘッドコーチも言及していたように、この試合の川崎は今シーズン限りでの引退を表明しているファジーカスが故障でコートに立てない不完全燃焼のまま、天皇杯敗退を終えることはなんとしても避けたいと強い決意を持っていた。「ニックがいないところで、チーム全員が少しずつステップアップしていかないといけない」と語る長谷川だが、そのステップアップを誰よりも示すパフォーマンスだった。

ベスト4は2月14日、アウェーで行われる琉球ゴールデンキングス戦だ。長谷川は「やっぱりインサイドが強烈なので、いかにチーム全員でしっかりリバウンドをとりきれるのか。それができれば、よいゲームになると思っています」と意気込みを語る。

より良い状態で琉球戦を迎えるためにも、これからのリーグ戦のパフォーマンスは重要となってくる。そのために「チームとして目標の優勝に向けてやっています。ベテラン、若手とか関係なく常に全力で試合をしたいです」と語る長谷川の攻守に渡るここ一番での勝負強さは川崎のさらなるステップアップに欠かせない。