株式会社ティーアンドエス

FIBAワールドカップ2023が8月25日に開幕。フィリピン、インドネシア、日本の初の3カ国共催で、沖縄アリーナでは連日、熱戦が繰り広げられている。世界大会は日本をアピールする良い機会であり、特に試合会場のアリーナがある沖縄にとっては千載一遇のチャンスだ。ITサービスを通じて、社会課題の解決や新たな価値の創出を目指しているSCSK株式会社の川端卓は、地元の沖縄の魅力をさらに伝えようと奮闘している。そして、デジタルイノベーションを得意とする株式会社ティーアンドエスで代表取締役を務める稲葉繁樹は同じ志を持つ川端とアイディア交換を行った。

「沖縄の歴史文化や豊かな自然などにも興味を持ってもらいたい」

川端 SCSK株式会社で地域共創事業開発部の部長をしている川端卓です。弊社は沖縄県と首里城復興のDX連携協定を結んでいて、デジタル技術の力で地元を盛り上げたいと強く思っています。

稲葉 川端さんは沖縄出身で地元愛が特に強いんです(笑)。

川端 そうですね。今バスケのワールドカップで注目を浴びていますが、せっかく沖縄に来たのに、沖縄県の魅力を知らずに帰ってしまうのはもったいないということで、IT企業としてデジタル技術を使って出来ることを考えています。

ちなみにワールドカップの舞台でもある沖縄アリーナで、今年のはじめにTリーグ(卓球のプロリーグ)の琉球アスティーダと一緒に、NFTを使ったスタンプラリーをやりました。フードコートや特設イベント会場で、張本(智和)選手など会場ごとに異なるカードを配布し、全てコレクションすると福原愛さんの限定NFTが貰えるようにして、来場者に会場内を回遊させるように工夫したり。実際に試合前から行列ができるなど好評でした。

稲葉 これはTリーグだけじゃなく他のプロリーグでも通用する取り組みですよね。それこそ、夢のアリーナ構想を掲げ、アリーナの建設ラッシュが続いているBリーグにも通ずるかと。特にBリーグは2026年に新たなフォーマットを構築して、『地域創生』の動きをさらに活発にしようとしている最中ですし、我々はIT屋なので、そういったところをデジタルの力で後押ししたいですね。

川端 そうですね。先ほど言ったように弊社は首里城復興に取り組んでいますが、沖縄の歴史文化はもちろん豊かな自然など地域ならではの様々な魅力に触れ、興味を持ってもらいたいと考えているんです。そうやって地域との接点を増やしていく。その意味では、首里城正殿の復元完了が2026年の予定なので、そこもBリーグと繋がりますね。

ちなみに首里城は復元されたら見に行くという人が多いのですが、私は復元の過程も見に来てほしいと思っています。復元が終わればその姿はずっと見ることが出来ますが、刻一刻と変わる復元の過程はその時々しか見れません。例えば、首里城で世界文化遺産に登録されているのは『基壇(きだん)』といわれる正殿の遺構なのですが、普段は地下に埋まっていて見ることが出来ない世界遺産「首里城正殿遺構」を一般公開している時期もありました。また、バスケワールドカップ開幕翌日の2023年8月26日(土)からは首里城正殿の復元工事の様子が見られる「素屋根見学エリア」がオープンしています。このように復元中にしか見られない首里城も楽しんでほしいと思っています。

株式会社ティーアンドエス

「スポーツチームと地域住民の幸せな関係性をデジタルの力で」

稲葉 それこそ、現在バスケのワールドカップが開催中で、海外の人も含めた多くの観光客が沖縄入りしている今は千載一遇のチャンスですね。しかも、競技バスケットが沖縄に伝わったとされるのが1923年で、今年で100年目というタイミングだったり、首里城が沖縄バスケの起源と関わりが深いことも判明したのって運命的なモノを感じますね。

川端 間違いないですね。今後ももっと沖縄の魅力を広めていきたいです。そのためにも定住人口だけではなく、観光客(交流人口)や関係人口をどうやって増やしていくかが大事になっていくと思っています。ただ、スポーツツーリズムで観光客が来てホームゲーム(スポーツ)を盛り上げてくれるのは良いことなんですが、それは『非日常』の話。チームとの関わりやアリーナの活用をどう『日常』のものにしてもらうかということが地域経済にとってさらに重要だとも思っています。

稲葉 だからこそ、チーム愛や地域愛というモノが大切になっていきますよね。今って、非日常しかデザインできていなく、それを日常的に価値あるモノにする。地域のスポーツチームはその部分ですごく価値があると思うんですよね。

川端 そうですね、非日常と日常を繋ぐ存在としてのスポーツチームであり、そのスポーツチームと地域住民の幸せな関係性みたいなものをデジタルの力で作っていきたいですね。

稲葉 やっぱり、志というか考えが似ていますね(笑)。しっかりした目的があって、そのために技術があり、今までにない価値を実現するために先端技術を活用する。『地域×スポーツ×テクノロジーを活用した新たな仕組み』がやはり重要かと。

川端 すでに我々はそこに取り組んでいますが、今後もこうした動きを加速させたいですね。ワールドカップを現地で観戦した後は首里城の復興の様子も見に来てください。めんそーれ!!