平良彰吾

3ポイントシュート3本成功、ゾーン攻略の立役者に

4月9日、Bリーグのチャンピオンシップが開幕し、琉球ゴールデンキングスがクォーターファイナル初戦で島根スサノオマジックに79-71で勝利。7回連続となるセミファイナル進出に王手をかけた。

試合の出だしからともに相手の得点源に激しいプレッシャーをかけ、簡単にシュートを打たせないが、島根は津山尚大が第1クォーターだけで11得点と爆発、琉球も小野寺祥太が8得点と互いにオフェンスは停滞せず、互角の展開で前半を終える。

それでも琉球は後半開始から強力インサイド陣がゴール下で存在感を発揮し、いきなり10-0のランに成功。これで主導権を握った琉球は、第4クォーター頭には松脇圭志の4点プレー、速攻から脇真大のレイアップとビッグプレーが続くことでリードを2桁に広げ、後半をわずか30失点に抑えた堅守によって79-71の勝利を収めた。

琉球の桶谷大ヘッドコーチは、「前半はなかなか良い流れがなかったです。後半にディフェンスで強度を上げ、3ポイントシュートを簡単に打たせなくなってから一気に自分たちのペースに持っていけた」と堅守を勝因に挙げる。

オフェンスでヒーローとなったのは3ポイントシュート3本成功を含む13得点を挙げた平良彰吾だ。桶谷ヘッドコーチは「ゾーンディフェンスに苦しんだ時、彰吾が出てきてジャンパーを決めて問題を解決することで、相手がゾーンを使ってこなくなった。彰吾の活躍が大きかった印象です」と語る。

平良彰吾

「もっと良いリズムを作っていけるように」

琉球はチームの大黒柱である岸本隆一が4月中旬に故障離脱してチャンピオンシップを迎えている。岸本不在の中、いかに外から効果的に決めるのかが大きなポイントとなるが、指揮官は次のように平良のシュート力を信頼する。

「彰吾はプルアップから3ポイントシュートが打てます。相手がピック&ロールからアンダーで守ってきたら、今日のように決めてくる力があることはかなりプラスになっています。常に120%を出し切るスタイルなので長い時間は出られないですが、エナジーを注入してオフェンスの起点になってくれました」

昨シーズンまでB3を主戦場としており、キャリア初となるチャンピオンシップで躍動した平良は「苦しい展開が続きましたがチームで勝ち切ることができて良かったです。明日はもっとタフな試合になる中、自分でもっと良いリズムを作っていけるように頑張っていきたいです」と語る。

そして、「ピック&ロールのところで相手がアンダーで守ってくると予想していました。そこで思いって打って決めれば相手も守りにくいと思っていたので、しっかり決めることができて良かったです」と、試合前からシュートチャンスが来ると想定していた中での活躍だった。

シーズン途中にB3の横浜エクセレンスから琉球に加入。そして天皇杯優勝に貢献するサクセスストーリーを歩んでいる平良だが、3月中旬には全治6週間と診断される左膝のケガを負った。チャンピオンシップ出場も危ぶまれたが、本人に焦りはなかった。レギュラーシーズン最終節となった先週の佐賀バルーナーズ戦での復帰も含め、想定通りの流れでチャンピオンシップを迎えることができたと語る。

「良い感じで回復していたので不安はそんなになかったです。先週の佐賀戦で復帰を目指していた中、しっかりと調整してチャンピオンシップを迎えることができました」

平良彰吾

チャンピオンシップの成否を分ける『Xファクター』

また初のチャンピオンシップでも冷静にプレーできていた理由として、平良は岸本の存在を挙げる。骨折した左第5中足骨の手術を終えた岸本は、この試合からベンチに入っている。平良は「隆一さんがいた方が雰囲気も良いです。練習中に『もっと力を抜いて』と言われて、気づいたところがありました。存在は大きいです」と助言に感謝している。

冒頭でも触れたように、チャンピオンシップでは互いに相手のエースを潰しにかかる。その中で勝利をつかみ取るには、いつも以上の活躍を見せる『Xファクター』の出現がカギとなると、桶谷ヘッドコーチは語る。

「自分たちが勝つ時は誰かが『Xファクター』になってくれています。特にチャンピオンシップでは徹底したスカウティングで相手のやりたいことをお互いに潰していきます。その中で、僕らからしたら北川弘選手の最初の3ポイントシュートは『Xファクター』でした。明日も同じ展開になるとは思わないですし、今度は荒川颯だったり、伊藤達哉が新たな『Xファクター』として出てきてくれると自分たちのゲームに持っていきやすいです」

岸本不在という大きな穴が生まれた中で迎えたチャンピオンシップ、その初戦で外角シュートを効果的に決めた勝てた意味は大きい。その立役者となった平良は、彼のシンデレラストーリーがまだまだ継続中であることを示した。