
日本経済大は新人インカレで東海大や白鷗大を撃破して初優勝を成し遂げた。地方大学として初となる快挙の中心にいた児玉ジュニアとボディアン・ブーバカー・ベノイット(通称ブノワ)に大会を振り返ってもらった。
「まずディフェンスから流れつかんでいけ」
──新人インカレ優勝おめでとうございます。率直な感想をお聞かせください。
児玉 うれしい気持ちと、監督や学生コーチ陣に対して感謝という気持ちですね。優勝を目標に掲げた以上、東海大や白鷗大と当たるのは分かっていました。それでも1回戦が東海大と決まった時には「うわーっ」と思ったのですが、どうせ当たるなら1回戦の方が良いと気持ちを切り替えました。そこからは東海大の対策よりも自分たちのディフェンスやバスケを突き詰めていくことを重視して、先輩たちも5対5の練習に付き合ってくれたりして、良いチームビルディングができました。
ブノワ 僕はケガの手術やリハビリがあって、友達が母国に帰っているのに帰国できずに、ホームシックになってバスケをやめたいと思うこともありました。そこから頑張って優勝できたのは率直にうれしいです。
──オフェンスよりもディフェンスに集中して、相手を止めたのが大きな勝因でした。
ブノワ 一番良かったのはディフェンスで、みんなで頑張りました。僕はリバウンドで絶対に勝つという気持ちでプレーしていました。僕の仕事であるディフェンスやリバウンドはもちろん、走れるのでそこからオフェンスに参加することができます。
──児玉選手はディフェンスにフォーカスしながらも、大会を通じてリムアタックや3ポイントシュートも増えていて、福岡第一の時とはプレースタイルが変わっています。オフェンスを引っ張る役割は楽しいですか?
児玉 楽しいですけど、決めないといけない責任、プレッシャーも強いです。コーチからは「シュートが入らなくてもお前はディフェンスができるから、まずディフェンスから流れつかんでいけ」と言われています。
──シュートは努力の結晶だと思いますが、練習はかなりやった自信がありますか?
児玉 シュートの本数よりも練習方法にこだわりがあって、例えばパスも縫い目を合わせないようにお願いしています。試合で縫い目が合うことはほとんどないので、合わせないで出してもらったり。自分の動きを考えてメニューを作ったり、学生コーチにも聞いたりしていろいろなシチュエーションドリル形式で練習をしています。新人インカレに向けて出発する日も、飛行機に乗る集合の30分前まではずっとシューティングをしていました。ダッシュで自転車を漕いで寮に戻って、準備してすぐに空港に向かいました(笑)。

「ベンチにいる時もいっぱいしゃべることが重要」
──ブノワ選手はディフェンスリバウンドを取ってすぐに前を走る選手にタッチダウンパスを合わせたり、自分でドライブしてキックアウトするなど、多彩なプレーができます。走れるし判断良くパスもできる、そういう良さが出せていました。
ブノア ジュニアさんや大庭涼太郎さんがボール運びが難しい時は僕が手伝います。僕にマッチアップしてくる選手は留学生のビッグマンなどアジリティが弱くて、僕のハンドリングスキルで運ぶことができます。体力的にはキツイですけど(笑)。
児玉 ブノワは相手によってスタイルを変えられます。もし相手が日本人ばかりのサイズが小さいチームならセンターとして中に入れてポストアップができるし。
東海大のムスタファ・ンバアイのように大きいけどブノワのフットワークについていけない選手だったら、ブノワにボールを渡してアタックしてもらいます。ブノワはパスも出せるし、ちゃんと周りも見えていて、スコアもできるので、そこはすごく助かりました。
──片桐章光コーチはブノワ選手のリーダーシップを褒めていました。
ブノワ 人一倍声は出すし、みんなのモチベーションを上げられるようにしています。でも、自分でもなんでそんな行動をするのかは分からないです(笑)。コートの外ではあまりしゃべらないのですが、コートの中に入ると「勝つためにどうするか」とマインドが切り替わります。僕もシュートが入らない試合もありますし、ディフェンスがあまりできない時もあります。それならベンチにいる時もいっぱいしゃべることが重要だと思っています。
児玉 試合に出ている選手はベンチに戻ると自分のことを考えてしまいがちで声とか出せないじゃないですか。でもブノワは良い時はもちろん、なんなら悪い時の方がめっちゃ声をかけてくれます。