ホーバス「川真田がステップアップしてくれました」

バスケットボール男子日本代表は、『FIBA アジアカップ 2025』でシリア代表との初戦を99-68で制した。

最終的には格下のシリア相手に実力通りの大差となったが、内容としては点差ほど楽なものではなかった。第1クォーターは手堅いプレーで先行したが、続く第2クォーターでは頼みの綱である3ポイントシュートが沈黙すると、相手に速攻を何度も許し、このクォーターを14-28と圧倒され32-41と嫌な形で前半を終える。

だが、トム・ホーバスヘッドコーチはハーフタイムで大きな声を上げてチームを鼓舞することもなく、冷静に指示を与えたと振り返る。「9点は大きな点差ではないです。ワールドカップでは20点差をひっくり返しました。初戦ということもあり、みんな焦っていた部分が多々見られたので自分たちのバスケをちゃんとやろうと伝えました。後半に逆転する自信はありました」

そして指揮官の期待通り、後半は立ち上がりから本来のプレーを見せてシリアを圧倒。最終的には30点差以上の大差で勝利した。試合後、ホーバスはグループフェーズ1位突破をかけた大一番となるイラン戦に向け、「(イランは)強いチームで大きなチャレンジとなります」と警戒する一方、「カギはウチのバスケをちゃんとやれるのか、それができて良いペースを作れたら自信はあります」と続ける。

また、ホーバスは「選手がいろいろなポジションでプレーすることによって生まれるオプションが好きです」と、選手起用の幅が広がっていることへの手応えを語る。その代表的な例が日本代表では5番でプレーしてきたホーキンソンの4番起用で、それを可能にしたのが川真田紘也の存在だ。

「川真田がステップアップしてくれました」とホーバスも称えたように、シリア戦の川真田は11分31秒の出場とローテーションの一角を担った。4得点3リバウンドのスタッツ以上に身体を張ったプレーでインパクトを残した。

「自分のできることを最大限にやるだけです」

ただ、川真田としては、次のように厳しい自己評価だった。「どうなんですかね?まぁ、もっとできるところはありました。第2クォーターで自分たちが停滞していた時間帯に貢献できなかったことが課題です。ジョシュが4番、僕が5番で出ている時にもっとチームの良さを引き出せるプレーができるように頑張っていきたいです」

ホーキンソンの4番起用が少しでも増えれば、彼のフィジカル面での負担軽減に繋がる。「マイキー(川真田)と一緒にプレーすることは楽しいです」と、笑顔を見せるホーキンソンは「彼が5番でプレーしてくれると、僕は常にボールスクリーンをかける必要がなく、よりシュートを打つことに集中できます。そして彼が入るとリバウンド力がとても高まります」とポジティブな影響を語る。

ただ、川真田は「正直、僕はいつも通りに5番でプレーするだけで、しんどいのはジョシュの方だと思います。彼はすごいオールラウンダーで、僕のやりやすいようにプレーを合わせてくれただけです」とホーキンソンに感謝しきりだ。それ故に「まとまった時間でプレータイムをもらえていたので、これを継続していきたいです。彼の負担を減らすためにもより試合に出ていきたいです」と続けた。

年々、Bリーグの外国籍選手はレベルが上がっており、インサイドにおいてはグループフェーズの対戦国よりもBリーグの方がレベルは高い。この厳しい環境で戦っている川真田だからこそ、「Bリーグで外国籍選手とやりあうのが当たり前なので、メンタルの部分で負けるつもりはないです」と、臆することは全くなくプレーできている。だからこそ、「いつも通り、自分の全力を出せばいい。自分のできることを最大限にやるだけです」と言う。

この言葉通り、川真田は普段のプレーができればゴール下でやり合えることをシリア戦でしっかりと証明した。明日のイラン戦、よりサイズとフィジカルのある難敵相手に、川真田の存在はより重要になってくる。