クリス・ブーシェイ

ラプターズ優勝を知る最後の選手がセルティックスへ

セルティックスは今オフが始まってすぐ、クリスタプス・ポルジンギスをホークスに放出した。このトレードで加入したジョージ・ニアンは、セルティックスでプレーする機会のないまま、2巡目指名権2つとのトレードでジャズへと送られた。

この発表の直後、セルティックスはクリス・ブーシェイとベテラン最低保証額の330万ドル(約5億円)で契約したことも発表した。

セルティックスはプレーオフでジェイソン・テイタムがアキレス腱断裂の重傷を負ったことで、新シーズンは優勝を狙えないと見てサラリー削減へと方針転換した。多くのチームがサラリーの削減に四苦八苦するのをよそに、結果的にポルジンギスの3000万ドル(約45億円)の契約を2巡目指名権2つでほぼ消し去ったブラッド・スティーブンス球団社長の手腕には感服するしかない。

ポルジンギスとルーク・コーネットがすでにチームを去り、ベテランのアル・ホーフォードも再契約せず退団することが濃厚で、ビッグマンの補強が急務だった。ブーシェイはラプターズで7シーズンに渡って控えビッグマンを務めた32歳。主役を演じるタイプではないが、チームのために身体を張り、チームを動かすことのできるベテランだ。昨シーズンは50試合すべてでベンチから出場し、10.0得点、4.5リバウンドを記録。ラプターズとしては、2018-19シーズンの優勝を知る最後の選手がチームを去ったことになる。

昨シーズンはサンズ、ティンバーウルブズに続くリーグ3番目に高かったセルティックスの年俸は、あと400万ドル(約6億円)を削減できればでファーストエプロンを下回り、タックス自体を回避できる可能性も出てきた。ラグジュアリータックスは連続摘要で課税額が増えるため、ここで一度ラグジュアリータックスを回避してリセットしておくことは、今後のチーム編成を楽にするという意味がある。

サラリーを削減した分だけ選手層は薄くなるが、ジェイレン・ブラウンとデリック・ホワイトという『アンタッチャブルな選手』には手を付けず、ペイトン・プリチャードやサム・ハウザーのような計算できる中堅選手も残した。新シーズンは今までのように圧倒的な力は見せられないかもしれないが、1巡目28位で指名したルーキーのウーゴ・ゴンサレスも含めた新戦力の台頭を楽しみにしながら、テイタムの復帰を待つことになる。