鉄壁ディフェンスが機能した理由をロペスが明かす
今シーズンのバックスは開幕からの10試合で2勝しか挙げられず、この時点でリーグ最下位だった。しかし、その後は31勝17敗と素晴らしいペースで勝ち星を重ねており、NBAカップでは決勝でサンダーを破って優勝している。昨シーズンの不振、今シーズンのスタートダッシュの失敗によりバックスの評価は必ずしも高くないが、次第にその実力は見直されている。
現地2月27日、その評価を一気に高めるような勝利があった。ホームでのナゲッツ戦での快勝だ。第3クォーターまではバックスがリードする時間帯が長かったものの、1ポゼッションか2ポゼッション差の競った展開。それでも第4クォーターに突き放し、ナゲッツの爆発力を最後まで封じ込めての121-112での勝利だった。
ヤニス・アデトクンボは28得点19リバウンド7アシストを記録。それでもこの試合で最も良い働きをしたのは、ニコラ・ヨキッチのマークを担当したブルック・ロペスだ。
ナゲッツは直近の11試合で10勝と絶好調で、100回のポゼッションでリーグ2位の119.4得点を挙げ、フィールドゴール成功率50.9%と1試合あたり31.3アシストはリーグ1位。その中心はヨキッチだ。ピック&ロールやポストアップからの変幻自在のパスが驚異のシュートパーセンテージを生み出しているが、まずはヨキッチ自身にゴール下でのイージーシュート、オフェンスリバウンドを奪われてそのまま得点される機会を与えない必要がある。
ロペスは粘り強くヨキッチに貼り付き、できる限り自由を奪った。ヨキッチは32得点14リバウンド10アシストと、この試合でもトリプル・ダブルを記録したが、スタッツほどのインパクトを残したわけではない。ヨキッチを除くナゲッツのフィールドゴールは89本中34本成功、38.2%といつもよりかなり低い数字に落ち込んだ。
ヨキッチの多彩なプレーを一人で抑え込むことは不可能だが、ロペスはできる限りそれをこなした。必要とあればダブルチームに来るのはアデトクンボで、その間も両腕を広げてパスを妨げた。こうして少しずつヨキッチの判断を邪魔し、集中力を奪い、ナゲッツの攻撃を停滞させていく。試合の終盤、ヨキッチは審判の判定に不満を漏らし始めた。ここに意識が向くようになった時点で、バックス守備陣の勝ちだった。
アデトクンボ「こういう緊張感は良いものだ」
ロペスはヨキッチとの対戦をこう振り返る。「ヨキッチに対しては激しくマークしなきゃいけないけど、同時にファウルを引き出すのも上手いからスマートに守る必要もあって、そのバランスが難しい。でも、上手く守れた理由はチームメートが常に集中していたからだ」
「ヘルプが必要な時はすぐ対応してくれる。そう思えたからこそ、積極的に守ることができた。ヤニスの存在は大きいよ。文字通り危険なスペースを彼が大きな身体でふさいでくれる。あのウイングスパンも含めて、相手の選択肢をかなり狭めてくれる。ヤニスだけじゃなく、他の選手も同じように集中して僕をサポートしてくれた。チーム全体として最高のリズムでプレーできたと思う」
この張り詰めた緊張感の中で、良い集中を保って勝利をつかんだことをアデトクンボも喜ぶ。「まるでプレーオフの試合だったね。午前のシュートアラウンドから僕らはすごく集中していた。そこでナゲッツのプレーをあらためて確認し、試合前のロッカールームでも確認した。その間ずっと集中できていた。こういう緊張感は良いものだし、そうやって臨んだ試合に勝てたのはうれしいよ」
開幕当初は破滅的だったバックスは、シーズンが進むにつれて自信を取り戻し、チームとして機能するようになっている。そしてナゲッツ相手の快勝は、また新たな自信となる。
「この勝利は僕たちが何者なのかを示してくれる」とロペスは言う。「他人からどう評価されているかは気にしない。でも、自分たちの実力を信じることは大事だし、僕らの目標が的外れなものじゃないと感じることができる。そういう意味で大きな勝利だったよ」