「思い続けることに対して自分たちがやることもすごく大切です」
「金メダルを目標にしていたので、少し悔しい部分はあるんですけど、ただバスケットボール界初のメダルを獲得できたことは本当に誇らしく思いたいです」
東京オリンピックのファイナルでアメリカに敗れ、準優勝に終わった日本代表のキャプテン、髙田真希はそう語った。
「今大会ずっとそうでしたけど、試合が楽しくて待ち遠しくて仕方なかったです。最初こそ緊張した選手もいるかもしれないですけど、本当に12人全員が楽しみながらできたことが、ここまで来れた要因だと思います。本当に自分自身は楽しかったですし、どんなに点差が離れても自分たちのバスケをすることは徹底できたと思います」
最後に勝って終わることはできなかったが、結果がどうあれ『やりきった』と言える彼女たちは幸せに違いない。それは2016年のリオ大会後の再始動から今日に至るまで、全員が日本代表に多くを捧げてきたからだ。そこには常に、指揮官のトム・ホーバスと、キャプテンの髙田の存在があった。
「トムが就任してからずっと金メダルを目標に掲げて、どんな状況でも今年もケガ人が多い中で、メンバー選考の最後の最後まで誰が入るか分からない中でも金メダルとブレずにずっと目標として言ってきてくれました。そこを目指すための練習をしてきたので、だからこそ自分自身の立場としても金メダルを取るっていう目標はずっと言ってきましたし、信じてやればここまで来れるんだなと今日実感しています。思い続けることは大切ですし、思い続けることに対して自分たちがやることもすごく大切です」
「練習が一番キツいので大変でした」と、苦笑いとともに髙田はここまでの日々を振り返る。「何回も同じことで注意されたりだとか、細かいことを修正したりして、それをみんなが乗り切ってここまで来れたので。正直な話、ロッカールームに戻った時は、『メダルを取った!』よりも『やりきったー!』という感じ。それぐらい本当にタフな合宿をずっと続けてきたので、これから少し解放されるという喜びはあると思います。みんなそう言ってました(笑)」
「あと一歩でオリンピックに行けずにテレビで見たり、すごく貴重な経験をしたけどベスト8で終わったりしてきての東京オリンピックだったので、すべての経験がここに繋がっています。その経験をしたからここまで来れたので、本当にたくさんの方々に感謝したいですし、自分の経験してきたことは無駄じゃなかったと思えて良かったです」
応援に感謝「たくさんの声が自分たちに届いていました」
勝ち続けたことで、大会最終日まで彼女たちは試合をすることになった。決勝トーナメントになって注目度は上がり、自国開催のオリンピックでバスケを盛り上げるという目標も果たせたに違いない。その過程を髙田自身も楽しんでいた。
「自分たちにとっても貴重な舞台でしたし、ここに立つためにやってきたので本当にうれしい気持ちで、やっていて楽しかったです。特にこの大会を通して、バスケットを今まで見たことがなかった人もたくさん応援してくれるようになりましたし、たくさんの声が自分たちに届いていました。やっぱり応援してもらえることがスポーツの価値だと自分は思っているので、たくさんの方々にこれからも応援していただきたいと思います。本当にこの期間で女子のバスケットがもっともっと注目されたら良いと思います」
そのためには、まだまだ髙田が頑張っていかなければいけない。日本代表を引っ張った後は、Wリーグを引っ張り、そしてまた日本代表を引っ張ることで、バスケ人気を盛り上げていく。大変な責任ではあるが、髙田にはその覚悟がある。
「やっぱり常に練習の中から自分がどういう選手になりたいのかを持って取り組むことが一番大事です。一人ひとり、特にこの12人が各チームに戻って引っ張ることがすごく大切だと思うので、試合もそうですけど、日々の練習が大切だと思います。そして試合で大切なのは見に来てくださっている方々に何かを与えられるようなプレーをすることで、そこに繋がるのは日々の練習なので、なりたい自分になることを目標にしていくことが大切だと思います」
「大会を通して、自分たちのやるべきことをやれば最後に逆転まで持っていけたり、勝ちきれるのは自信になりました。それぐらい練習がタフで試合の方が楽、これからまたもう一つ高い目標に行くには、この練習をもっともっとハードにやっていく必要があると思うので、この経験を得られたことは本当に自分たちにとっては貴重だと思います」
これでオリンピックは終わり、彼女たちは束の間のオフを迎えるが、すぐに再始動することになる。日本のバスケを引っ張る髙田の奮闘ぶりを、これからも注目していきたい。