Bリーグ再開、西地区の後半戦展望(後編)名古屋Dに突き付けられた課題『勝つカルチャー』をどう作っていくか

Bリーグ再開、西地区の後半戦展望(後編)名古屋Dに突き付けられた課題『勝つカルチャー』をどう作っていくか

2021/01/23 11:45
齋藤拓実

レギュラーシーズン60試合のうち27試合を消化しての20日間のブレークが明け、Bリーグ後半戦がスタートする。新型コロナウイルスの影響を大きく受けながらも、折り返し地点までシーズンは進んだ。この先の展望を、東地区と西地区に分けて見ていきたい。

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リーダーシップを発揮する選手が前に立つことが必要

名古屋ダイヤモンドドルフィンズは齋藤拓実、狩野祐介、ジェフ・エアーズ、レオ・ライオンズと即戦力の新加入選手が序盤戦から活躍し、特に齋藤はこれまで絶対的なポイントガードだった笹山貴哉から先発の座を奪い、笹山もこれに刺激を受けてシックスマンとしてパフォーマンスを上げた。これまで先発と控えの差が大きかったチームに、各ポジションで健全な競争が生まれたことには大きな意味がある。

ただ、名古屋DはBリーグになってから今まで常に『そこそこ』の成績。今の勝率(59%)は過去4シーズンと比べて最も高いが、ここで安定してしまってはチャンピオンシップには行けても、その先には進めない。今シーズンここまでもA東京、千葉、宇都宮には全敗(0勝6敗)と東地区のトップチームに勝てる気配はなかなか感じられない。選手個々のタレント力はあっても、チームとして勝ちへの執着心、ハードワークがなかなか出てこないのは大きな課題。オフェンスやディフェンスをどうこうするのではなく、勝つカルチャーをどう作っていくか。リーダーシップを発揮する選手が前に立ち、進むべき道を示してほしいところだ。

大阪エヴェッサは帰化選手のアイラ・ブラウンを軸に強力な外国籍トリオ(ジョシュ・ハレルソン、ギャレット・スタツ、ディージェイ・ニュービル)を揃え、また海外育ちの若手(エリエット・ドンリー、角野亮伍、駒水大雅ジャック)を加える独自のチーム作りを進めるチーム。ポテンシャルは十分だが、天日謙作ヘッドコーチが開幕を前に病気療養のためチームを離れることになった。チーム作りに必要な求心力、そして勝つために必要なベンチワークのいずれも欠いてしまった印象は否めない。外国籍選手がチームルールを徹底できている試合では強いが、ここまでは波がある。

それでもアイラはリーダーとしてチームの中心となっているし、橋本拓哉が日本人エースとして大成した。サイズとウイングスパン、脚力とフィジカル、そしてシュート力と、橋本は日本代表の主力クラスに匹敵する素材。これまで乗れていない試合では存在感を消してしまう悪癖があったが、今の大阪の『走るバスケ』を忠実に遂行し、自分が走るべきレーンを迷いなく駆け上がることで自分たちの望む展開を作り上げ、そこで自分の能力を発揮できるようになっている。最近ではクラッチタイムで「自分が決める」という気持ちの強さまで出てきた。

アイラに橋本、外国籍トリオ。どこかに負担が偏るのではなくチームとしての戦いが成熟すれば、ここから順位を上げてチャンピオンシップ進出は見えてくる。欲を言えば若手の中で彼らに続く存在が出てくれば、さらに上を目指すことも可能だろう。簡単ではないが、Bリーグになってから最大のチャンスが目の前にあるだけに、是非ともモノにして西地区の競争を白熱させてほしい。

河村勇輝

特別指定選手で盛り上がって終わり、であってはならない

信州ブレイブウォリアーズと滋賀レイクスターズ(10勝17敗)、島根スサノオマジック(9勝18敗)、京都ハンナリーズ(7勝20敗)、三遠ネオフェニックス(5勝22敗)、広島ドラゴンフライズ(4勝23敗)と、西地区の10チーム中6チームがシーズン折り返しを前にチャンピオンシップ進出の可能性がほぼ消滅。これは東地区の横浜ビー・コルセアーズ(10勝17敗)、新潟アルビレックスBB(9勝18敗)、レバンガ北海道(7勝20敗)も同様だ。

今シーズンは降格がない特別レギュレーションとなっており、チームとして明確な目標設定がなければ、ただただ消化試合をこなし続けることになる。今シーズンは、オフの編成の時点から新型コロナウイルスの影響がどこまで大きく、またいつまで続くかが読めなかったために選手の人件費は抑えられ、それがチーム作りの指針が曖昧になりがちな要因となった。

勝率5割を切っているチームの中に、シーズン後半戦を今後に繋げる明確な意図を持ち、前進していると感じさせるチームがいくつあるか。クラブはファンに対してその指針を発信すべきだし、チームはコートでのパフォーマンスでそれを示してほしい。シーズン後半戦をつまらない消化試合にしないことは、各チームが果たさなければならない大事なノルマだ。

年末からこの中断期間にかけて、学生年代のプレーヤーが多数B1にやって来た。プロのレベルで揉まれることで一気に成長するであろう彼らの戦いぶりは注目に値するし、リーグの盛り上げに一役買うことになる。昨シーズンに続き特別指定選手としてプレーする河村勇輝はすでにリーグ屈指の人気選手であり、他にも注目株がたくさんいる。ただ、『盛り上がって終わり』ではいけない。プロ契約を結んだ選手は一握りで、多くは大学バスケ部に籍を置く選手だ。特別指定選手がシーズン後半の盛り上げを作るのはいいが、本質はチーム力のアップでなければならない。彼らは良い経験を積んでステップアップできても、チームは『BREAK THE BORDER』ができているのだろうか?

これまで18チームだったB1は20チームへと拡大され、来シーズンには22チームへとさらに広がる。この1年でB1内の格差は広がり、今後はさらに進むだろう。消化試合が増えればリーグ全体のレベルは下がり、それはBリーグ自体の魅力の低下にも繋がる。今シーズンに降格がないのは新型コロナウイルスによる厳しい経済状況の中で潰れるクラブを出さないための救済策。その事情をコート内に持ち込んではならない。

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