宇都宮ブレックス

レギュラーシーズン60試合のうち27試合を消化しての20日間のブレークが明け、Bリーグ後半戦がスタートする。新型コロナウイルスの影響を大きく受けながらも、折り返し地点までシーズンは進んだ。この先の展望を、東地区と西地区に分けて見ていきたい。

Bリーグ再開、東地区の後半戦展望(前編) タレントの千葉と遂行力の宇都宮、勝率トップの『2強』が今週末に激突
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小酒部泰暉の戦線離脱でA東京はさらに苦しい状況に

東地区で最大のサプライズはアルバルク東京の思わぬ低迷だ。いくら激戦の東地区とはいえ、A東京は中断で終えた昨シーズンを例外とすればその前にリーグ連覇を果たし、盤石の安定感を誇ってきたチーム。スケジュールが厳しかったり主力選手を代表活動に取られたり、成績不振の言い訳になる要素が毎年ある中でも結果を出してきたチームが、想定外のスランプに陥っている。

15勝12敗の成績以上に、これまで接戦を制してきた勝負強さが影を潜めているのだから深刻だ。12敗のうち9つは1桁点差での負け。勝負どころでイージーなターンオーバーをしない、相手にファストブレイクやセカンドチャンスポイントを与えないといった、地味ではあれ盤石の強さを支えてきた部分に綻びが出ている。

不振のきっかけとなったのは開幕前、新型コロナウイルスに感染した選手が出て、チーム作りの期間に活動ができなくなったことだろう。ただ、ここまで影響が大きく、そして長引くとは予想できなかった。

特にチャンピオンシップになればルカ・パヴィチェヴィッチの戦術とチームの遂行力で他を圧倒する強さを発揮するチームだが、その力も今はないと見るべきだろう。それ以前に、チャンピオンシップ圏内に食い込めるかどうかも今は微妙な情勢だ。チャンピオンシップ進出ラインを35勝25敗と仮定すれば、A東京は後半戦を20勝13敗で乗り切る必要がある。今のA東京にとって不可能ではないが、決して楽観的ではいられない数字だ。そんな厳しい状況の中、元気のないチームに喝を入れる存在となっていた小酒部泰暉がケガで8週間の離脱となったのは致命傷になりかねない。

シャノン・ショーター

千葉はショーターの個性をチームスタイルに噛み合わせられるか

本来の力を発揮できずに苦しむA東京とは対照的に、安定した強さを見せているのが22勝5敗で並ぶ宇都宮ブレックスと千葉ジェッツだ。千葉は1年目から大野篤史、宇都宮は2年目途中から安齋竜三と同じヘッドコーチが長くチームを率いているが、いずれも悪い意味での『慣れ』をチーム内に生ませない厳しさがある。

ここまでの戦いぶりを見るに、タレント力では千葉が上。それでもシャノン・ショーターが入って富樫勇樹のボールハンドラーとしての負担は減らせたものの、最善のバランスはまだ見いだせていない。ボールを持つ時間が長いショーターがオフェンスの舵取り役になるとチームより個人で攻める形が増え、他の選手の良さが出てこない。セバスチャン・サイズにコー・フリッピンも含め、強烈な個性が揃うチームでいかにボールとチャンスをシェアするか、これからスタイルを突き詰めなければならない。

一方の宇都宮は、ディフェンスとリバウンドを徹底するスタイルを貫いており、チームとしての遂行力では千葉を上回るという印象だ。新加入選手ではジョシュ・スコットは明らかに宇都宮のスタイルにフィットするし、フォワードのLJ・ピークの個性も既存のスタイルに上手くフィットしている。ただ、手堅い分だけ爆発力に欠ける。その点では長期離脱中の比江島慎がシーズン終盤に間に合うか、チャンピオンシップまでにどこまでコンディションを戻せるかに注目したい。

今週末にはその宇都宮と千葉がブレックスアリーナで激突する。この中断期間にどちらもチームを修正しているはずで、それがコート上でどんな形で示されるか、注目の連戦となる。