吉田亜沙美、怒涛の24得点で目標に肉薄するも届かず
予選ラウンド最終戦。この前の試合でトルコが3勝目を挙げた結果、日本はフランス相手に13点以上の差を付けて勝たないとグループ4位となる。4位通過では準々決勝で王者アメリカと当たることがほぼ確実で、それを意識しながらの戦いとなった。
まずは世界ランキング4位の強豪フランスに勝つこと。立ち上がりに本川紗奈生が得意のドライブから先制点を奪うと、吉田亜沙美が3ポイントシュートを沈める。ここまで好調のシューター、栗原三佳のマークが厳しいと見るや、ガード陣が積極的に仕掛けることで、日本が試合の主導権を握った。
それでもフランスも簡単には譲らない。3ポイントシュートとインサイドを巧みに使い分けて食らい付くと、第1ピリオドのラストプレーで攻め急いだ日本の隙を突いてボールを奪い、終了のブザーとともに3ポイントシュートを決めて逆転した。
第2ピリオドに入ると日本がペースアップ。先ほど攻め急ぎを突かれた町田瑠唯が3ポイントシュートを決めて、ファーストプレーでミスを帳消しにすると、本川も3ポイントシュートを決め、さらにはドライブからバスケット・カウントをもぎ取る。フランスの意識が外に向いたところで、今度はインサイドの渡嘉敷来夢を使ってリードを広げた。
フランスは、トルコとオーストラリアが日本を攻略したのと同じく、インサイドの長身選手であるイサベユ・ヤクブにボールを集めて反撃にかかり、残り5分で30-30の同点とする。だが、日本はディフェンスを引き締め直し、しつこく張り付くことでインサイドを止めると、「走るバスケット」を展開して相手のファウルを次々と誘発。チームファウル5つになったフランスをさらにスピードで攻め立て、最後は本川がフリースロー2本を確実に決めて8点リードの40-32で前半を終えた。
相手の日本対策を逆手に取り、スピードで切り裂く
ここまでフランスの対策の裏を突いた本川のドライブを中心とした攻めが機能。徹底マークを受ける栗原に無理に打たせるのではなく、空いた選手に素早くパスを回して、吉田、町田、本川が計3本の3ポイントシュートを決め、フランスの日本対策を崩した。さらにはスピードで振り回しファウルを誘発、前半に得た13本のフリースローすべてを決めたことがリードの要因となった。
しかし、後半の立ち上がりに突如として日本の足が止まってオフェンスが停滞してしまう。この間、オフェンスリバウンドを取り3ポイントシュートを決め、さらには強引な仕掛けでバスケット・カウントをもぎ取るフランス一気呵成の反撃で、2分足らずで40-40の同点に追い付かれてしまう。
それでもエース渡嘉敷の得点で嫌な流れを断ち切ると、近藤楓が3ポイントシュートを沈め、続くプレーでも速攻からサイドステップで自らフリーを作って連続3ポイントシュートを決め、48-40と再び突き放す。ここから乱打戦となるが、栗原封じに加え、本川や近藤もケアしなければならなくなったフランスの守備が、自分に甘くなったことを見抜いた吉田が、自らガンガン仕掛けて得点を重ねて打ち勝つ。最後は吉田がブザービーターの3ポイントシュートを決め、63-54で第3ピリオドが終了する。
試合開始から走り続けるアップテンポな展開が続き、両チームとも疲弊した中で迎えた最終ピリオド。日本は連続得点を許し、さらには残り6分49秒で渡嘉敷が4つ目のファウルを犯しベンチへ下がる羽目に。ここで停滞するオフェンスに再び活力を注入したのが町田だった。自ら切り込んでレイアップを沈めると、思い切った3ポイントシュートを決めて70-58とリードを広げる。
勝利を捨てたフランスの『現実主義』の前に目標達成ならず
4位転落を避けたいのはフランスも同じだった。逆転勝利をあきらめて点差を広げられない戦い方を選択。ペースを落として日本の長所を封じにかかる。重苦しい雰囲気の中、吉田が2本のレイアップを決めて74-62と目標達成までワンポゼッションにまで肉薄するが、日本にはもう足が残っていなかった。残り1分を切ったところでボールを持つ吉田に対して誰もサポートに行けず、フランスのイサベル・エポウパがスティールを決めて重い2得点を挙げる。
それでも吉田は冷静さを失わず、最前線に一人残っていた近藤に素早くパスを送って76-64、再び12点差に。ところがここでマリーヌ・ジョアネスに3ポイントシュートを決められてしまう。試合開始からずっと栗原のマークに専念していたジョアネスによる、フランスにとっては値千金の一撃だった。
76-68の残り25秒で日本がタイムアウト。その直後、近藤に代わって入った三好南穂がクイックで放った3ポイントシュートをねじ込み、再び日本に可能性の火を灯す。だが、ここからのファウルゲームをフランスは巧みに乗り切り、79-71で試合終了となった。
吉田は24得点7アシストと2つのゲームハイを記録。その控えである町田も10分弱のプレーで8得点2アシスト。また本川は17得点を記録した。渡嘉敷はファウルトラブルに陥るも退場を避けて13得点7リバウンド。一方のフランスはローテーションで運動量を保ちながら、リバウンド数で日本の22に対し43(うちオフェンスリバウンド17)と圧倒した。
グループBの最終戦は明日行われるが、ここまで全勝のアメリカの1位通過はほぼ確実。グループBの4位となった日本は、中2日を置いて王者アメリカに挑む。
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