川崎ブレイブサンダース

最終クォーターに横浜が猛追、終盤までもつれる熱戦に

12月9日、川崎ブレイブサンダースが横浜ビー・コルセアーズと神奈川ダービーを実施。試合終了のブーザーが鳴るまで勝敗の行方が分からない激闘を78-77で制した。これで川崎はブレイク明け4連勝となっている。

第1クォーター、横浜はパトリック・アウダがゴール下へのアタックで連続得点を重ね、開始2分半で9-2と先行。だが、川崎はここでタイムアウトを取ってディフェンスを修正すると、攻守の素早い切り替えからイージーシュートを作りだしパブロ・アギラール、ニック・ファジーカスらを軸に反撃する。残り3分で20-11と一気に逆転し、今度は横浜がタイムアウトを取らざるを得なかった。

第2クォーターに入っても川崎は篠山竜青の連続3ポイントシュート成功などでリードを維持するが、横浜もロバート・カーター、森川正明の長距離砲で応戦し、残り3分に34-34と追いつく。しかし、川崎は直後にファジーカスがさすがの連続得点で横浜の流れを断ち切ると、終盤には藤井祐眞の活躍で突き放し45-36で前半を終える。

後半に入っても川崎ペースは続き10点前後のリードを維持する形で時間は経過していく。だが、第4クォーターに入ると流れが変わる。

「相手のピック&ロールのディフェンスに対し、スイッチするのか、しないのかそこに惑わされた部分はありました。後半、相手に3ポイントシュートをやられてしまいましたが、こちらの戦略的な反省点はありました」

このように川崎の佐藤賢次ヘッドコーチが振り返る中、横浜のカイル・ミリングヘッドコーチは「オフェンスについてはよい形でシュートを打てていたので、ハーフタイムでもっと自信を持って打ち続けようと伝えました」と積極的に仕掛けていくと、このクォーターで6本中4本成功の3ポイントシュートで徐々に追い上げ、残り50秒で1点差に肉薄する。

川崎ブレイブサンダース

篠山竜青「接戦で守り切って勝ちをモノにできたのは自信になります」

そして残り8秒、川崎の1点リードで、横浜のオフェンスと勝負の分かれ目を迎える。ここで横浜は、この試合3ポイントシュート9本中5本成功の28得点とシュートタッチのよいカーターが、アウダのスクリーンを使ってスイッチを強いることで機動力の優位を生かせるアウトサイドでファジーカスとの1対1を作り出す。

しかし、ここでファジーカスが見事な対応を見せると、カーターが痛恨のファンブル。なんとかボールをキープしたが、タフショットとなった一撃は外れ、川崎が最後までもつれる熱戦を制した。

最後のプレー、横浜にとっては指揮官が「カーター選手が最後のポゼッションでボールを欲しがったのはうれしかったです。1対1でファジーカス選手のところを攻めようと、タイムアウトで話していました」と言及したように理想的な状況を作り出した。

しかし、川崎は篠山が「最後は2対2の場面で、ニック選手がカーター選手にいいディフェンスでファンブルをさせてリズムを崩しました。賢次さんがヘッドコーチになってからニックもディフェンスでレベルアップしているところを見せてくれました」と振り返ったように、ここ一番の守備で踏ん張ることに成功。「とにかく、こういう接戦を最後に守り切ってなんとか勝ちをモノにできたのは自信になります」と総括した価値ある1勝となった。

また、この試合、篠山は3ポイントシュート2本中2本成功を含むフィールドゴール5本中4本成功で今シーズンベストの12得点を記録。開幕からシュートタッチに苦しんできたが、ここに来て徐々に状態は上がっている。

「数字には現れなかったですが、ちょっとずつ感覚としてよくなっていると思っていました。今日やっとそれが1本目に出て、2本目にも思い切って打てました。苦しい時に点を取れる。ポイントガードとして高い確率で決め切ることを遅ればせながらもっと出していきたいです」

川崎ブレイブサンダース

ミリングヘッドコーチ「生原のリーダーシップは大きい」

前節、川崎はホームゲームではあったが、いつもの土日開催ではなく、日曜と月曜の変則開催で、この試合は4日間で3試合目とタフなスケジュールだった。しかし、その中でも「試合前、フィジカルの疲れは心配していましたが40分間、強度は高かったです。想定以上に選手たちは戦ってくれました」とプレータイムをシェアし、佐藤ヘッドコーチの期待を上回るハードワークを披露。これでブレイク明け4連勝となったが、指揮官は内容にも手応えを感じている。

「15試合を終えてのバイウィークでいろいろと見直して方向性を作り、それを共有できています。何をやらなければいけないのか、しっかり理解してプレーできている手応えを感じていて、それが結果に現れている。ただ、まだ12月は6試合あるので気を引き締めてここだけは絶対にブラさないというところをしっかりやっていきたいです」

一方、あと一歩及ばなかった横浜だが、先週末は三遠ネオフェニックスに連勝。また、その前の試合はサンロッカーズ渋谷に敗れたが、第3クォーターに最大18点の大量リードを許していたのを一時は3点差に迫り、今回も惜敗と上位チーム相手にも対抗できるところを見せている。この試合ではブレイク明け欠場が続いていたアキ・チェンバースが復帰し、19分30秒とプレータイムを制限する中でも17得点をマーク。また、ミリングヘッドコーチが「彼のリーダーシップは大きい」と大きな信頼を寄せる生原秀将の12月に入ってからの復帰と合わせようやくタレントが揃ってきた。この良い流れを加速させるためにも、今週末からの信州ブレイブウォリアーズ、秋田ノーザンハピネッツと対戦するホーム4連戦ではしっかりと結果を残したい。