花島大良

「みんな足を攣るキツい場面を何とか踏ん張りました」

岡山インターハイ4日目、八王子学園八王子(東京都)が優勝候補筆頭の福岡大学附属大濠(福岡県)を71-63で破り、ベスト4進出を決めた。

八王子にとって大濠は、U18日清食品トップリーグとウインターカップで敗れた因縁の相手。それだけにチームの誰もが『打倒大濠』に燃えていた。撹上颯斗コーチは「明日のことは考えず、この一戦に全部を懸けると選手に伝えました」と語る。

強烈な檄を受けた選手たちは、試合開始から激しいプレッシャーを掛け、203cmの長身ながら機動力のあるニャン・セハセダトも含めたコート上の5人が攻守にフル回転。タイムシェアをほとんどせずに主力が鬼気迫るプレーを見せる。それでも個人能力と選手層で上回る大濠はビハインドでも冷静さを保ち、第3クォーター途中から八王子のプレー強度が落ちた隙を見逃さず、サントス・マノエルハジメと白谷柱誠ジャックの連続得点で逆転した。

それでも、スタミナ切れかと思われた八王子はここから逆にギアを上げる。佐藤大愛の3ポイントシュートで逆転すると、運動量もルーズボールへ飛び込む強度も復活。再び大濠を圧倒し始める。第4クォーターも終盤に入り、ビハインドを背負う大濠が強度を上げようとするたびに、八王子が上回った。

この試合、八王子の多くの選手が終盤に足が攣っても走り続けた。「どこに誰がいるのか相手が分からないぐらい動き回って、ウチの留学生は他のチームと違って走れるので、そこで違いも出せました。インターハイ前からずっと激しいディフェンスの練習をやってきて、それで足が動きました」

そう語るのは25得点のセハ・セダトに次ぐ16得点を挙げたフォワードの花島大良だ。豊富な運動量でディフェンスを支えつつ、オフェンスでも結果を出した。「僕はニャンとのカッティングのプレーを増やすことを狙っていて、今日はそれがまんまとハマって得点を伸ばすことができました」

リードしていても点差はわずか。体力は限界に近付きつつあり、少しでも崩れたら大濠に一気に流れを持っていかれそうな展開で、八王子はアクセル全開のプレーを最後まで続けた。「この日のためにみんなやってきたのに、ここで崩れたら何の意味もない。ベンチに戻ってそう声を掛け合いました。この1勝にすべてを懸けて、コート上の5人、ベンチの7人、応援席も含めて総力戦で、みんな足を攣るキツい場面を何とか踏ん張りました」

花島も終盤に足が攣ったものの、「絶対に自分がやると決めた試合なので、最後までコートに立っていたかった」と応急処置をして戻って来た。ローテーションが間に合わずに3ポイントシュートを打たれる場面もあったが、届かなくても少しでも詰めようとシュートチェックに身体を投げ出した。これがリングに嫌われたことを花島は「多分、相手が落としたんじゃなくて、僕らが落とさせたんだと思います」と語る。

去年は十返翔里というスター選手を擁していても勝てなかったライバル大濠を倒したことにチーム全員で喜びを爆発させたが、「あと2つ勝たないと意味がない」と花島は気を引き締める。左足に2カ所、右足に1カ所の大きなアイシングの袋をぶら下げた彼は、「明日までにみんなちゃんと治します。明日もう1勝して、決勝でも勝ちます」と笑顔を見せた。