森田栞名「全員が良い表情で戦えるのが一番の強み」

インターハイ4日目、精華女子(福岡県)は倉敷翠松(岡山県)を75-34で破り、ベスト4へと駒を進めた。

精華女子の強みは3年生のアキンデーレ・タイウォ・イダヤットと1年生のブバ・アイシャ・エジネ。異なる留学生2人の個性を使い分ける戦い方だ。前日のベスト16で対戦した八雲学園(東京都)には1回戦で60得点、2回戦を挙げたテウ・アダマがいるが、機動力を生かしたオフェンス力はあってもディフェンスに戻るのが遅く、そこをスピードのあるブバ・アイシャ・エジネのトランジションで狙うことで突き崩した。

一方で倉敷翠松の留学生、オルショガ・アヨミポシはスキルはあるがフィジカルでは劣り、この日は高さとパワーで押し込むことのできるタイウォがアドバンテージを作り出した。

この留学生の個性をチームとして引き出せているのも大きな強みとなっている。その部分で目立ったのはゲームキャプテンでハンドラーを務める森田栞名だ。留学生にパスを入れて「あとはお任せ」というオフェンスは精華女子には存在しない。特に森田は自分でボールキープしながらペイントエリアの様子をうかがい、タイウォやアイシャが攻めやすい体勢を取った時に、受け取りやすい場所へと絶妙なパスを入れ続けた。

留学生がそれぞれの強みを出せるような体勢でパスを受けさせる。練習からその意識を徹底して連携を高めてきた。「やっぱりタイウォには相手ディフェンスがいっぱい寄ってきますが、あの子が良い状態でプレーできるようにすれば絶対勝てると思っています。パスはタイウォのシールの角度によっても種類が変わってきますが、取りづらいパスにならないようにしっかり見極めています」と森田は言う。

また、留学生のプレーが良くても悪くても、試合が途切れるたびに誰かが声を掛け、肩を叩き、ハイタッチをしにいく。それに応援席の部員たちも乗っかって盛り上げていく。大きな役割を背負う留学生への精神的なフォローが自然に成り立っており、それがタイウォとアイシャのプレーの安定感に繋がっている。

「留学生だから、とはあまり考えていませんが、留学生だけじゃなくコートにいる5人が良い顔でプレーすることが勝利に繋がると思っています」と森田は語る。「もちろん私だけではなく、ベンチにいるメンバーもサポートメンバーも、全員が良い表情で戦えるのが精華の一番の強みだと全員が思っています」

精華女子は昨年のウインターカップで4強進出を果たしているが、この時は3年生主体のチームで、主力を務めていたのはタイウォだけ。ベンチ入りは果たしてもプレータイムがなかったという森田は、今こうして全国の舞台でプレーする喜びを噛み締めている。

「私にとって全国大会は初めての経験で、明日からメインコートの舞台に立ちます。会場の雰囲気を楽しんで、日本一になれるように頑張っていきます」