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2年連続の『ファイナル4』へ視界良好

3月11日、セレクションサンデーと呼ばれる今年のNCAAトーナメントの組み合わせが発表された。八村塁が所属する昨年の準優勝校、ゴンザガ大学は、ウェスト地区の第4シードに振り分けられている。今回は、ゴンザガの組み合わせについて考察してみよう。

今シーズンのゴンザガ大はここまで30勝4敗。怒涛の開幕29連勝を達成した昨シーズンに比べれば見劣りするが、それでも全米5位の本数となるディフェンスリバウンドを基調とした堅守をベースに、試合を重ねるごとに強さを増していった。まさにトーナメントに向け、しっかり仕上げてきた印象が強い。

去年のチームは、司令塔のナイジェル・ゴス・ウィリアムス、巨漢センターのジェメク・カノウスキを擁し、インサイドとアウトサイドに大黒柱がいるオーソドックスなチームだった。一方、今年のチームはジョナサン・ウィリアムス、キリアン・ティリー、そしてシックスマンとして欠かせない戦力になっている八村と、203cmから208cmの複数のポジションをこなせる身体能力に優れたフォワード陣が揃うチームとなっている。去年のカノウスキ、ザック・コリンズのような本職のセンターはいないが、その分、チームとしての機動力、運動量は上回っている。八村としても、より彼の個性を発揮しやすいメンバー構成と言える。

ここでトーナメントの簡単な概要を説明すると、全68の出場校がイースト、サウス、ミッドウェスト、ウェストの4地区に振り分けられる。その各地区を勝ち上がった4チームが集まって巨大スタジアムで開催される準決勝と決勝が『ファイナル4』と呼ばれる。

2年連続の『ファイナル4』進出へ向け、ゴンザガ大の組み合わせを見た率直な感想は「運が良い」だ。もちろん一発勝負のトーナメントに楽な試合など一つもないが、それでも第4シードのチームとしては恵まれている。

その最大の要因は、順当に行けばベスト16で当たる第1シードがゼイビア大であること。今回、第1シードに選出された4校(他にバージニア大、ビラノバ大、カンザス大)で最も力が劣ると見られるのがゼイビアだ。実際、シーズン終盤の戦いを見ても、2月中旬に行われたビラノバ大との対決には79-95と完敗。さらに所属するビッグイーストカンファレンスのトーナメントゲームでは、オーバータイムでプロビデンス大に敗れる取りこぼしを喫するなど、右肩上がりではない。そしてゴンザガにとっては、昨年のベスト8でゼイビアに83-59と快勝している精神的アドバンテージもある。

ゼイビア大以上に要注意なのが2回戦で激突するであろうオハイオ州立大だ。就任1年目のクリス・ホルトマンの下、ここ2シーズンの不振から復活を果たした名門は、フィジカルコンタクトに強い激しいディフェンスが光る。ゴンザガの所属するウエストコーストカンファレンスの競争力は高くない。そして初戦もマイナーカンファレンスのノースカロライナ州立大グリーンズボロ校であり、オハイオ州立大との対戦は、2018年に入って初めてのトップレベルのカンファレンスを生き残った実力校との試合となる。そこで今までと違う強度のディフェンスに、どこまでスムーズに対応できるのかが注目となる。

このベスト16を突破できれば、ファイナル4を懸けて対戦が予想されるのは昨年の決勝で激突したノースカロライナ大が濃厚。ここで雪辱を果たし、2年連続ファイナル4の快挙を達成する姿を見たいものだ。