文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

序盤のタイムアウトで守備を改善したSR渋谷

サンロッカーズ渋谷vs千葉ジェッツ、好調なチーム同士の対戦は強固なディフェンスで速攻を封じ、流れを渡さなかったSR渋谷が勝利した。

立ち上がりのSR渋谷は苦戦を強いられた。富樫勇樹のスピードに対応できずドライブから次々と得点を許し、試合開始からの3分半で5-12と先行される。それでもタイムアウトでディフェンスを修正すると、そこから逆襲に転じる。千葉のトランジションを封じ、満原優樹が3本のシュートをすべて沈める7得点。ロバート・サクレとベンドラメ礼生がそれぞれ5得点を挙げ、23-21と逆転して第1クォーターを終えた。

その後は強固なディフェンスで千葉に形を作らせないSR渋谷が徐々にリードを広げていく。ジョシュ・ハレルソンが第2クォーターだけで3本の3ポイントシュートを含む13得点。長谷川智也やロバート・サクレも要所で得点して流れをつないだ。対する千葉はギャビン・エドワーズや小野龍猛が個人技で打開するが、得意のトランジションでの得点が伸びない。またサクレとハレルソンのツインタワーを前にシュートを打ち切れず、合わせのパスがターンオーバーになるなどリズムに乗れなかった。

68-54とSR渋谷の14点リードで迎えた最終クォーターでアクシデントが起こる。ここまでペリメーターからのジャンプシュートや豊富な運動量でチームを支えた長谷川が、ジャマール・ソープのシュートをアシストした際に足を負傷し続行不可能に。千葉はこの好機にディフェンスの強度を高めてターンオーバーを誘発し、得意の速攻が出始める。残り2分30秒で70-79と点差を1桁に縮め、SR渋谷の背中をとらえた。

だがSR渋谷はハレルソンやベンドラメのオフェンスリバウンドで効果的に時計を進め、サクレのブロックショットでゴールを死守。その後は得点を奪えないものの、千葉の得点もエドワーズのフリースロー1本のみに抑え込み、ファウルゲームにも持ち込ませないセーフティリードを保ったまま79-71で勝利した。

「数字には表れない仕事を大事にしています」

勝久ジェフリーヘッドコーチはディフェンスを勝因に挙げた。特に第1クォーターのタイムアウトでの修正が効いた。「富樫選手が一人でプッシュして、他の4人がプレーに絡んでないにもかかわらず、ウチは1対1で守っていた。ボールに対して5人で守らないといけないので、そこを全員がボールラインまで下がることを話しました」

また、セカンドユニットを含むチーム全員がそれぞれの仕事を全うしたことも大きい。勝久コーチはチームスローガンでもあるその『一体感』がいかに大事かを説明した。「数字には表れない仕事を我々は大事にしています。コーチも選手もそれが出ています」

劣勢に立たされた展開を覆す原動力となった満原は「シンプルですけど、スペースを取ってディフェンスを頑張り切れたのが良かったです。それができれば勝てるという自信もあります」と強気な言葉を残した。

「ディフェンスがおざなりになってしまった結果」

千葉の大野篤史ヘッドコーチは「オフェンスにフォーカスしてしまって、ディフェンスがおざなりになってしまった結果です」と敗戦を総括する。

「試合をディフェンスからテンポを出すという、本来やらなければいけないところに目が向かず、得点が欲しい、レフェリーと戦ってしまった、そういういところに敗因があります。終盤に自分たちのディフェンスがやっと出てきたので、あの疲れている中で激しいディフェンスができるのであれば、第1クォーターの最初から40分間やり続けることが必要でした」

18得点4アシストと気を吐いた富樫だったが、チームを勝利に導くことができず、冷静に試合を振り返った。「良いシュートが打てていた場面はあったんですけど、ディフェンスで相手にやりたいことをやらせてしまいました。相手にシュートを決められてしまうとトランジションでの点数が減ってしまうので、それが自分たちのリズムが来なかった原因かなと」

今回の勝利でSR渋谷は破竹の10連勝を達成し、東地区の2位に浮上した。「勝った瞬間はうれしいですが、過去は過去なので明日勝たないと意味がないというマインドでやってます」と勝久コーチ。慢心のないSR渋谷が連勝を伸ばすか、それともいまだ連敗がない千葉がその強さを見せるのか、今日の第2戦からも目が離せない。