「厳しい状況に置かれてワクワクするのが我々だ」
現地4月7日、ヒートは117-105でセブンティシクサーズに勝利し、連敗を止めた。シクサーズはすでにプレーオフ進出をあきらめて『ビッグ3』不在となっており、これで12連敗。ヒートにとっては勝って当然の試合ではあったが、第3クォーター序盤にはシクサーズの意地の猛追を浴びて逆転を許している。それでも第4クォーターで押し返し、きっちり勝ったことが今のヒートには収穫となる。
契約問題のこじれからフロントと衝突したジミー・バトラーの退団により、ヒートはそれまでの持ち味だった土壇場の勝負強さを失ってしまったように見えるが、バトラーの問題を抜きにしても、ケガ人続出でまともに戦えるコンディションではないのも確かだ。
バム・アデバヨが背中の痙攣で、アンドリュー・ウィギンズはハムストリングと足首を痛めて欠場。ニコラ・ヨビッチは右手の骨折で戦線離脱している。タイラー・ヒーローもケガで前の試合を欠場し、痛みを抱えながらもプレーして20得点で勝利に貢献した。
バトラーの退団で、ヒーローはエースとしての重圧を背負うことになり、それに少しずつ順応しているところ。指揮官エリック・スポールストラは、ヒーローについてこう語る。「この数カ月、彼は重要な役割を担っている。ケガ人が多くてラインナップを固定できず、どうしても彼の負担が増えて疲弊してしまっていた。今は彼がオフボールでプレーする機会を増やし、それに順応してくれたおかげでチームのオフェンスの幅が広がっている」
アンダーソンはヒーローの成長に太鼓判
実際、シクサーズ戦の第4クォーター、勝負どころで攻撃の起点となったのはヒーローではなくカイル・アンダーソンのピック&ロールで、そこからの展開でヒーローやダンカン・ロビンソンが得点を重ねた。
「相手は守備でもすごくアグレッシブにプレーしていたから、その勢いを上手くかわして、ミスマッチから良いチャンスを作る、その中でもダンカンを生かすことを考えた」とアンダーソンは言う。そしてヒーローの変化をこう称賛する。「僕が加入した当初に比べて、球離れがかなり良くなった。ダブルチームを受けた時の賢い対処法を学び、チームで崩す意識が持てるようになった。彼が優れたプレーヤーなのは知っていたけど、この数カ月でレベルアップしている。スター選手がブレイクする瞬間に立ち会えるのはうれしいことだよ」
35歳になったバトラーにケガが多く、コンスタントにプレーできないことを懸念して契約延長を渋ったところから『バトラー問題』は始まった。そのバトラーがウォリアーズではハードに戦い続けている一方で、ヒートにケガ人が相次いでいるのは皮肉な状況だ。
それでも、ヒートの戦うメンタリティは不変だと指揮官エリック・スポールストラは強調する。「こういう厳しい状況に置かれてワクワクするのが我々だ。高いレベルで競争したい。今がまさにその時で、生き甲斐を感じさせてくれる」
このようにヒートは苦戦を続けながらも、少しずつチームとしての武器を増やしている。現在は東カンファレンスの10位だが「想定より低い順位でも、自分たちが想定より劣っているわけではない。私はこのチームの戦う姿勢、ケガ人を言い訳にしない態度が気に入っている」とスポールストラは言う。今シーズンもプレーイン・トーナメントからのポストシーズンとなるが、レギュラーシーズン残り3試合で一つでも多く勝ち、チーム状況を改善させて、ここに臨むことになる。
Tyler returned to the lineup & dropped 20 on another efficient night from the floor 🔥 pic.twitter.com/EtXi0Tcgi3
— Miami HEAT (@MiamiHEAT) April 8, 2025