知らなきゃ損する簡単エクササイズでパフォーマンスアップ!

『バスケット・カウント』では、バスケットボール専門のトレーナー監修による、バスケプレーヤーに向けたエクササイズ連載をスタートさせます。最初の3回はウォーミングアップ編。

プレーヤーのレベルを問わず、準備運動やケガ予防になるのはもちろんですが、全国大会に出るレベルの強豪校のプレーヤーでも、筋肉がガチガチに固まってしまっているのはよくある話。筋肉が固まっていると、可動域が狭まり動きにしなやかさが出ないので、ドライブのキレ、ジャンプの高さも落ちてしまいます。きっちりストレッチの時間を取って正しく実践していれば、ケガ予防だけでなくパフォーマンスもアップする。だから「知らなきゃ損」なのです!

バスケをする前に行うストレッチということで、『ダイナミックストレッチ』という、じっとして筋肉を伸ばす静的ストレッチよりも、身体を動かしながら関節や筋肉をほぐしていくメニューをたくさん取り入れました。筋肉もただ単に伸ばして温めるだけでなく、伸び縮みがスムーズにいって可動域が広がるように動かしながらストレッチすることをテーマにしています。

簡単なエクセサイズですが、しっかりと意識して毎日続けることで、必ず効果は出てきます。草バスケにせよ学校の部活にせよ、よほど恵まれた環境でないとトレーナーはいないはず。だからこそ、自分の身体は自分でしっかり管理することが上達への第一歩です。

~ヘッドフレクション~

ただ首を倒すだけの簡単な動きですが、バスケ選手にはこれができない人が非常に多いので、メニューの最初にもってきました。バスケ選手は首回り、肩回りがこっていることが多いです。

これには競技の特性もあります。シューティングでは頭を下げてリングを見上げるので、シュートポジションを取るたびに首回りの筋肉が硬くなっていきます。さらに、シュートポジションを取るのは練習でも試合でも集中する時なので、緊張感が高くなればなるほど無意識のうちに力が入り、首の後ろ側の筋肉が縮んだ状態になります。これで筋肉がガチガチに固まってしまうので、頭を前に倒して伸ばしてあげることで緊張を取ります。

~ヘッドローテーション~

首を左右に振る動作については、肩の緊張の関係で「右は回りやすいけど左は回らない」という左右差がよくあります。まずはそれを確認するためにローテーションをやって、動きが悪い方は指先を目で追います。これは眼球の『原始反射』を利用しています。首が動かしづらい方向に眼球を動かしてあげると、緊張が落ちて首が回るようになるという神経作用です。

本人にそのつもりはなくても緊張している状態は「慢性筋緊張」と呼ばれるもの。これが原因で首の動きが悪いことがあるので、神経の作用を使って緊張を落としてあげる手法になります。首がスムーズに振れるようになれば視野が広がります。

~バックラテラルフレクション~

バックラテラルフレクションは身体の体側部分をほぐす動きです。特に意識すべきは一番下の肋骨から骨盤にかけての腰の筋肉です。普段の動きではなかなか伸ばすことのない筋肉で、ウォームアップでも忘れがちな部分なのですが、ここをしっかり伸ばしてあげることで肋間(あばら骨の間)の動きが良くなります。

そうなると肋間の筋肉は呼吸筋なので、呼吸がしやすくなるんです。バスケットボールのような持久力競技だと、これで胸郭(胸をとりまく骨格)が動きやすくなり、酸素も取り込みやすくなる。さらに、普段伸ばさない筋肉を伸ばすことで、体幹の動きもしなやかになります。

また、ボールを頭上に持ち上げてさらに横に倒すという動きをすると、腰の仙骨(お尻の割れ目の一番上のところ)から脇の付け根のところまでの背中周りの筋肉も伸ばすことができます。腕もしっかり上まで伸びるので、レイアップシュートにも行きやすくなります。

監修トレーナー:江上猛
福岡県のトレーニングジムK2ATT(カット)を拠点に、プロからアマチュア、幼児から高齢者まで幅広く指導。全米ストレングス&コンディショニング協会認定パーソナルトレーナーの資格を持ち、競技力向上、リハビリテーションエクササイズ指導、健康作り、ボディーメイキングに対応しており、バスケ選手だけでなくプロ野球選手やパラリンピック車いす日本代表選手も指導している。
制作=バスケット・カウント ディレクション=一般社団法人TSO 衣装協力=AKTR

知らなきゃ損するエクササイズ[知らエク]INDEX
[vol.1]バスケ選手特有の問題、首と肩のコリをほぐす
[vol.2]肩甲骨を動かすことで肩の動きをなめらかに
[vol.3]下半身のポテンシャルを引き出してジャンプ力UP
[vol.4]身体が温かいうちにクールダウンで筋肉の緊張を取り去る
[vol.5]すべてのパフォーマンスの基礎となる『正しい姿勢』を作る
[vol.6]盤矯正で腰回り、背骨周りの筋肉を緩め腰トラブルを予防
[vol.7]どのポジションでも必要なジャンプ力を得るエクササイズ
[vol.8]腹圧を意識した体幹トレーニングで『無意識の意識』の獲得へ