知らなきゃ損する簡単エクササイズでパフォーマンスアップ!

バスケットボール専門のトレーナー監修による『知らエク』の第3回は、引き続きバスケをやる前に行う簡単かつ効果的なストレッチを紹介します。今回は下半身のメニューになります。

バスケットボールのジャンプで使うのは殿筋、お尻の筋肉です。殿筋自体がそもそも分厚くて強い、そして鈍くてスイッチが入りづらい筋肉なので、そこをしっかり伸ばします。筋肉は緊張した固い状態ではパフォーマンスを発揮できません。走るにしても跳ぶにしても下半身の大きな筋肉を使うので、緊張をほぐして刺激を与えつつ、ケガ予防の意味でひざの関節周りを中心とした身体のセンサーのスイッチを入れていきます。

~ニーハグ~

ひざを曲げて持ち上げることによって、殿筋を伸ばします。股関節を深く曲げるので、バスケットボールのパワーポジションで腰を落とす時の股関節の動きを良くする効果もあります。

意識するのはひざを胸に抱え込むぐらいしっかり上げること。ひざを上げきらずに背中を丸めるのではなく、身体の軸はしっかり立てて、それで胸までしっかりひざを上げましょう。上げたところで1秒止めるぐらいの意識で行ってください。また、抱える足の足裏は床に設置している状態のまま上げます。そうすることで、接地する際の足の着き方を身体に入力していきます。

片足で立つことで、軸足で地面をとらえる感覚、バランスを取るウォームアップにもなります。それだけでも体幹が鍛えられますし、交互に歩きながらやることで効果が上がります。また、足の裏でバランスを取る、ひざでしっかり身体を安定させることで、ひざの関節周りのセンサーのスイッチを入れて感度を上げる効果もあります。ダッシュとかジャンプの際に捻挫を予防する意味でも、身体の様々なセンサーをしっかり目覚めさせてあげましょう。

~ニーハグランジ~

『ランジ』はニーハグから足を前に踏み出す動きで、大きく深く股関節や膝を曲げながら前進します。走る動作に直結する動きなので、走ったり止まったりする時に使う筋肉に刺激を入れる効果があります。いろんな部分に利いて、特に下半身の大きな筋肉の温度を上げられます。

接地した足がグラついたり、ひざが内側に入ったり外側に開く選手も多いのですが、これが結局はケガの原因になるので、しっかりとひざを上げて真っ直ぐ下ろすことを意識しましょう。ひざとつま先が同じ方向を向くよう安定させる。これもセンサーを働かせる効果があります。

下半身にプラスアルファする形で、ボールを持った腕を横に回す動きを入れています。これは回旋運動といって上半身の胸椎を回す動きです。上半身の様々な筋肉を動かして刺激を入れます。

~ニーハグプレーン~

今度はニーハグから、飛行機のような形で足を後ろに出します。軸足の太ももの裏側の筋肉を伸ばしてあげる効果があります。また身体を床に平行にすることで、より体幹の筋肉を使います。基本的にはグラつかないほうが良いのですが、グラつきながらバランスを取ることで身体の共働筋とか補助筋というバランスを取るための小さな筋肉を鍛えられます。背中を丸めないように伸ばすことで、よりももの裏側に利いてきます。また、なるべく身体が床に対して平行に、おへそが斜めではなく床を向くように意識してください。

ニーハグにランジとプレーンを加えたこの一連の動きによって、前に進んで後ろに下がるための下半身の筋肉は伸ばすことができます。ケガの予防にも効果があります。時間があったら横の動きを入れる、ひざの関節を回すメニューも入れると良いでしょう。

監修トレーナー:江上猛
福岡県のトレーニングジムK2ATT(カット)を拠点に、プロからアマチュア、幼児から高齢者まで幅広く指導。全米ストレングス&コンディショニング協会認定パーソナルトレーナーの資格を持ち、競技力向上、リハビリテーションエクササイズ指導、健康作り、ボディーメイキングに対応しており、バスケ選手だけでなくプロ野球選手やパラリンピック車いす日本代表選手も指導している。
制作=バスケット・カウント ディレクション=一般社団法人TSO 衣装協力=AKTR

知らなきゃ損するエクササイズ[知らエク]INDEX
[vol.1]バスケ選手特有の問題、首と肩のコリをほぐす
[vol.2]肩甲骨を動かすことで肩の動きをなめらかに
[vol.3]下半身のポテンシャルを引き出してジャンプ力UP
[vol.4]身体が温かいうちにクールダウンで筋肉の緊張を取り去る
[vol.5]すべてのパフォーマンスの基礎となる『正しい姿勢』を作る
[vol.6]盤矯正で腰回り、背骨周りの筋肉を緩め腰トラブルを予防
[vol.7]どのポジションでも必要なジャンプ力を得るエクササイズ
[vol.8]腹圧を意識した体幹トレーニングで『無意識の意識』の獲得へ