竹内公輔も出場、指揮官は「今使わないと対応できない」
この3連休、Bリーグの各チームが6つのブロックに分かれて争うアーリーカップが行われる。6会場のうち一番最初にゲームが行われたのが関東大会、船橋アリーナでの宇都宮ブレックスvs横浜ビー・コルセアーズの一戦だった。
この試合、比江島慎が先発出場したのは驚きだった。先週まで日本代表の一員としてワールドカップを戦い、4日前に帰国したばかり。2日間だけのオフを経て昨日チームに合流、すぐさま先発出場した。プレータイムには制限がかけられており14分の出場で5得点。及第点の出来といったところだが、このタイミングでプレーしたことに比江島の意欲が感じられる。
出場したこと自体に「そんなに特別な意識はないです」と比江島は言う。「チーム練習も1回しかやっていなかったので、出だしのところからチームにしっかり入って行こうと意識しました。疲れてはいますけど、身体よりメンタルを切り替えていかないと。疲れももちろんあるのでケガをしないように。良い具合に抜きながらじゃないですけど、やることをやりながら、です」
万全の準備を整え、すべてを懸けて挑んだワールドカップは、5試合全敗の惨敗に終わった。心身ともにすり減っているのは間違いなく、シーズン開幕まで間があることから今週末は温存するという選択肢もある。だが、宇都宮は比江島も竹内公輔もプレーさせた。安齋竜三ヘッドコーチはこの選択を「疲れているけど、今使わないとチームに対応できない。タイムシェアをして使いました」と説明する。
「オリンピックを意識して過ごしたい」
チームへのフィットについては「去年の経験もあるので、一人ひとりの役割は理解しています。自分の役割も変わらないと思うので、しっかりやっていきたい」と心配していない。
それよりも、宇都宮ブレックスでの日常に戻っても意識を高く保ち続けることの大事さを比江島は説く。「常にオリンピックのことを意識して試合をしなきゃいけない。一日一日が無駄にできず、成長しなきゃいけないと思っています。そうじゃないとまた同じ結果になってしまう。オリンピックを意識して過ごしたいです」
『日本のエース』として特に勝負どころの得点を期待された比江島だが、ワールドカップでは自分の仕事をほとんど果たせなかった。自分の実力が世界に通用するかどうか試すはずが、そもそも自分らしいプレーを出せないままに終わった。しかもチームは全敗。「疲れてますけど、身体よりメンタルを切り替えていかないと」と、やはり自信を取り戻すのが急務となる。
「引きずっているのは確かです。完全に切り替えられているかと思ったらそうじゃない」と比江島は素直に認める。ただそれと同時に、落ち込んでいる暇がないことも理解している。当然、投げ出してしまうつもりは毛頭ない。「しっかりと前を向かなきゃいけない、一日も無駄にできないというのが頭にあるので、それをモチベーションに今はやっています」
これ以上ないほどに打ちのめされた後だけに、立ち上がるのはそう簡単ではないだろう。しかし比江島はもう立ち上がり、新たな一歩を踏み出そうとしている。なお、試合は宇都宮が83-77で勝利。準決勝へと駒を進めている。