「絶対に自分がやろう」で桜花学園に優位を作り出す
岡山インターハイは鳥取城北(鳥取県)と桜花学園(愛知県)の優勝で幕を閉じた。大会期間となった6日間にわたり多くの観客が詰め掛ける中、最も多くの歓声を浴びたのは、桜花学園の竹内みやだった。彼女がボールを持てば「何かすごいことが起きる」という期待感が客席を包む。切れ味抜群のアタックはもちろん、身長161cmと小柄でも相手を追い詰めるプレッシャーディフェンスも見応えがあった。
8月1日に行われた女子の決勝でも、日本航空北海道を相手に奮闘。13得点2アシストのスタッツ以上に、攻撃の起点としてズレを作り出し、そこからチームメートを巻き込んでオフェンスを作り上げる存在感は際立っていた。特に決勝では立ち上がりから竹内のアイソレーションが機能した。竹内は「任されている分、絶対に自分がやろうと思っていました」と語る。
1年生だった去年から名門チームの主力を張っているが、「試合のたびに心臓バクバクです」と言っていた去年から一転、「去年はすべてが初めてだったので何をやるにも緊張していたのですが、去年からいろいろ任せてもらって経験を積んで、今はあまり緊張しなくなりました」と余裕が生まれている。
良い意味で『図太く』なった竹内は、決勝の大舞台でオフェンスの役割が増しても「自分のターンが来た。思い切りプレーして得点を取って、会場を沸かせてやろう」という気持ちでプレーに集中できていた。特に前半は竹内のリムアタックが絶大な効果を発揮。最初の加速だけでズレを作り出し、そのディフェンスの綻びを巧みに突くスキルと判断力も合わさり、前半で46-30とリードする桜花学園の試合展開を作り出した。
その手には『苦しい時こそ、みやがやるんです』の文字が書かれていた。これは去年から主力としてプレーしていた下級生コンビのもう一人、金澤杏が書いたもの。今大会はケガで無念の欠場となった金澤が託した思いを、竹内はコート上で実践した。
「苦しい時こそ、みやがやるんです」
結果として63-59で桜花学園が勝利した。それでも後半のスコアは17-29で、第3クォーターは膠着状態となり、第4クォーターには日本航空北海道の猛追を受けることになった。
「前半は得点が取れたんですけど、後半は得点が止まり、しかも大事なところでターンオーバーをしてしまったので、そこはガードとして本当にダメなところです。他にも結構いろいろな課題が出ているので、修正していかなきゃいけません」と竹内は反省しきりだったが、首から金メダルを下げて反省できるのは幸せなことだ。
前日に行われた精華女子(福岡県)との準決勝では、アキンデーレ・タイウォ・イダヤットに57得点を奪われる苦しい展開だったが、強力な留学生を相手にしても屈することなく戦い続けるチームのひたむきな姿勢に大きな声援が送られた。そして決勝では、竹内が見せた『スター選手の輝き』に会場が魅了された。
大会の主役の一人を演じた竹内は、1対1をガンガン仕掛けた時間帯を「もう気持ち的にはノリノリでした」と振り返る。「今日ぐらい応援してくださる方が多い会場でプレーするのは滅多にない機会なんですけど、それでも緊張せずいつも通りにプレーできました。本当に楽しくプレーできました」