西村文男

西村「俺が、俺が』となる選手が多すぎる」

千葉ジェッツは41日に行われたシーホース三河戦で75-89 と敗れた。

この試合、千葉Jは立ち上がりから守備の強度不足、連携不足が出て三河にゴール下でのイージーシュートを許し、第1クォーターでいきなり2桁のビハインドを背負ってしまう。その後も試合は常に三河のペースで推移。第3クォーター途中、粘り強いディフェンスからトランジションで得点を重ねる千葉Jらしい流れの時間帯もあったが、それを継続できず、逆に三河の西田優大、ダバンテ・ガードナーの両エースに要所で得点を奪われ、ジェイク・レイマンにはフィールドゴール15本中12本成功の31得点を献上。試合の大半で、三河のやりたいオフェンスを止めることができずスコア以上の完敗と言える内容だった。

この日の試合会場は今シーズン唯一の船橋アリーナ。今シーズン限りでの現役引退を表明している西村文男にとっては多くの勝利をつかんだ、かつてのホームアリーナでのラストゲームとなった。ここまで出番なしに終わる試合も少なくなかった西村だが、この試合は第3クォーター途中に投入されると、持ち味であるテンポのよいパスさばきでオフェンスに流動性をもたらした。西村が出ていた時間帯の千葉Jは、それまでと比べるとチームオフェンスを遂行できていた。

「今のホームはLaLaアリーナですけど、僕は10年くらいプレーしたのでここでの思い出が圧倒的に多いです」と語る船橋アリーナでの最後の公式戦を、西村はこう振り返る。「(前節のアルティーリ千葉線が行われた)千葉ポートアリーナではプレーできなかったので、船橋アリーナでプレーする姿を来てくれた皆さんに見せられたのはうれしかったです。そして最後、両方とも負けで終わっているのはある意味印象深いというか、思い出に残る形になったと思います」

これで千葉Jはブザービーターで敗れたA千葉戦ゲーム2に続いて連敗。現在3215敗で東地区2位につけているが、ここ5試合で23敗と苦しんでいる。優れた戦術眼の持ち主である西村は、今のチームが抱える問題について「単純に個人のメンタルだと思っています」と厳しい口調で語る。

「結局、練習でうまくやっていても試合中に『俺が、俺が』となる選手が多すぎる。練習でやっていないことを急に試合でやり出して、周りがそれについてこられずにミスが多くなる。そういう選手が1人2人いるだけでボールは回らなくなりますし、一人ひとりが試合中に『バスケットボールはチームスポーツ』ということに気づいたほうがいいなと思います」

原修太

原「相手の弱いところをチームとして突ききれていない」

千葉Jが自分たちのやりたいバスケットボールをなかなか遂行できていない根本的な理由として、大黒柱のジョン・ムーニーが2026年の頭からインジュアリーリスト入りしていることが大きい。今シーズン在籍5年目でチームを熟知し、個で打開できるだけでなく味方を生かすハードワークも高いレベルで遂行するムーニーの代わりは当然のようにいない。

西村も「正直、ジョンの不在がとんでもなく大きいところはあります」と影響の大きさを認めるが、同時に「でもそれをチームとして言い訳にすることはできないです。今いるメンバーでチームバスケットを作っていきましょうとなった時に、それが作れていない状況かなと思っています」と続ける。

最後まで攻守が噛み合わずに終わったチームにあって、原修太は積極的にシュートを放ちシーズンハイの19得点と気を吐いた。「個人としてはすごく良かったですが……」と語る原だが、西村とともにチームとして共通認識を持って戦えていない現状に危機感を募らせている。

「これまで相手の弱いところを突くことを当たり前にやっていたのが、今はチームとして突ききれていない。逆に相手がこちらの弱い部分を突いてきたのが、今日の三河さんとの差だったと思います」

今の閉塞感を打破するために必要なことを聞くと、原はしばらくの沈黙の後にこう語った。「まずはディフェンスをしっかりコミュニケーションをとってやる。2番から190cm近い選手たちがいて、スイッチできたり、いろいろなディフェンスができます。そして大きくて走れるメンバーがたくさんいるので、そこからトランジションを出したり、出せなくてもチームとして良いシュートをしっかりと打つことです」

千葉Jは昨シーズンにトレヴァー・グリーソンを新指揮官に招聘し、コート上の5人が連動するフレックスオフェンスに取り組んできた。これはチャンピオンシップなどの大一番で、得意とするアップテンポのバスケができなくなった時に個での打開力に依存して勝ちきれなかったという過去の反省を踏まえてだ。だが、ムーニー不在の現在の千葉Jは、よりチームで戦うことを求められるにもかかわらず、それができていない。

西村は語る。「全員が絡んで良いシュートを作れた感じがある時は、自分たちもやりたいことを遂行できている感じがします。でも今は誰かが良いシュートやすごいシュートを決めて『おー!』と盛り上がる時はあっても、チームとして良いバスケをして『今、良い形でシュートに行けたね』みたいな場面が少ないです」

千葉Jはチャンピオンシップ出場が目標ではなく、Bリーグ王者になることを至上命題に掲げる強豪だ。レギュラーシーズンは残り13試合と立て直す期間は十分にあるが、同時に今のままでは王座奪還が極めて難しいことを突きつけられる厳しい敗戦となった。