守備のワードワークで注目を集めるスペイン人ルーキー

セルティックスはジェイソン・テイタム抜きで迎えた開幕から3連敗と低調なスタートを切ったが、そこから3連勝と早々に立て直しに成功した。開幕戦はセブンティシクサーズとの接戦を1点差で落としたが、現地10月31日には同じシクサーズを相手に1点差で競り勝った。

前半は最大24点リードと楽勝ムードだったが、後半に巻き返された。10点リードの第4クォーター残り3分からクエンティン・グライムズ、タイリース・マクシー、VJ・エッジコムに3連続3ポイントシュートを浴びた。

テイタム不在のチームを引っ張るジェイレン・ブラウンは、フィールドゴール19本中13本成功と効率良くシュートを決めて32得点を記録。それだけアグレッシブに攻めても得られたフリースローは3本だけで、ジャッジにフラストレーションを溜めることになった。それでも1点差に詰め寄られた最後の20秒でシクサーズのオフェンスを2回止めて勝ちきった。

「審判に対して感情的になり、落ち着きを失ってしまった。何があってもプレーに集中し、チームを落ち着かせるのは僕の責任だ」とブラウンは反省するが、苦しい状況でも崩れずに勝ちきった内容を誇った。

優勝した2シーズン前から比べて、主力の放出が相次いだことで『セルティックスのバスケ』には修正が必要で、攻守のレベルを保つのは簡単ではない。それでも多くの選手を使い、様々な起用法と戦術をテストしながら、セルティックスは前に進んでいる。

新戦力の台頭もある。レアル・マドリーで3シーズンを過ごした後にセルティックスから1巡目28位指名を受けたウーゴ・ゴンザレスは、アメリカでのプレー経験のない19歳ながら即戦力として機能している。ベンチから出て、限られた出場時間でディフェンスでハードワークするのが彼のスタイル。この試合でもシクサーズのスピードのある3ガードに対抗し、その勢いを削ぐディフェンスを見せた。

「相手のベストプレーヤーをマークするという自分の役割を楽しんでいるよ。コーチ陣は僕の成長とチームの成功がリンクするような役割を設定してくれているから、それが何であれ喜んで全力を尽くす。若手がプレータイムを得るには、やっぱりディフェンスからだ」

そう語る彼のディフェンスは本当に激しい。シクサーズが追い上げた第3クォーター終盤、スティールからワンマン速攻に走ったグライムズに、全力疾走のゴンザレスがギリギリで追い付き、ダンクにいったグライムズとブロックを狙ったゴンザレスが空中で激しく衝突した。ファウルにはなったが、ゴンザレスのハードワークを示すプレーだった。

「誰かが得点を狙っていて、止められる可能性が少しでもあるのなら、僕は100回でも走る。結果がどうなるかじゃなく、とにかくイージーバスケットは与えたくないんだ」とゴンザレスは言う。

15分の出場で5得点5リバウンド2アシスト2スティール。そして個人ファウル5つ。「最後のファウルはひどかった。試合の流れや残り時間を考えれば全く必要のないファウルだった」とゴンザレスは反省するが、少なくとも今は向こう見ずなハッスルもチームにとっては良い刺激になっている。

ローテーションが定まっていない今のセルティックスは、日替わりでヒーローが誕生しやすい状況にある。ブラウンはルーキーのゴンザレスの奮闘ぶりを称えた上で、「チームの雰囲気は今まで以上に楽しいものになっている」と話す。

「どの試合でも全員に勝利に貢献する可能性がある。プレーしたくても出番がない状況が何試合も積み重なると精神的には辛いものだけど、今は試合ごとに10人から12人の選手がチャンスを得ている。その状況をみんな楽しんでいるよ」