「バスケをプレーしてチームに貢献できている!」
現地10月17日のプレシーズン最終戦、セブンティシクサーズのジョエル・エンビードはティンバーウルブズとの試合に出場した。昨シーズンを通じて膝の痛みに悩まされた彼にとっては、2月下旬以来8カ月ぶりの実戦復帰。主力不在のウルブズに対して、エンビードは19分の出場で14得点7リバウンド8アシスト3スティールを記録した。指揮官ニック・ナースは「良いプレーがほとんど。ネガティブな点はほとんど見られなかった」と、エースの復帰パフォーマンスを評価している。
3ポイントシュート2本成功を含むフィールドゴール10本中5本成功とシュートタッチは良く、以前より少しスリムになった身体にはキレがあった。そして何より、3ポイントシュートのフェイクからのリムアタックや、リバウンドを取ってのコースト・トゥ・コーストなど、膝に不安を抱えたままでは難しいプレーをいくつか見せられたのは朗報だ。
試合後のエンビードは「かなり調子は良い」と明るい表情で語った。「大事なのは、試合を終えて身体がどう反応するか。明日の感覚がどうなるかを待ちたい。それも僕にとっては学びのプロセスだ。チームは時間をかけてアプローチすると言っているから、僕はその通りにする」
「18歳に戻ったような気分だ、とは言わないよ。それは絶対にあり得ないけど、一日一日を大切に過ごして学んでいく。調子の良い日もあればちょっと辛い日もあるだろう。そこから学び、アジャストしていくんだ」
MVPを受賞した2023年5月以降、彼はケガに苦しんでいる。当時のような攻守の支配力を取り戻すことも可能だろうが、チームは彼への負担を減らし、彼が全部やらなくても勝てる方法を見いだそうとしている。それは、ディフェンスでは彼のリムプロテクト力を生かしつつ、点を取る役割は若手にシェアするスタイルで、この試合でもタイリース・マクシーが27得点、VJ・エッジコムが26得点、クエンティン・グライムズが22得点とエンビードより多くの得点を稼ぎ出すことで、機能する手応えは得られた。
「みんな20点ぐらい取ってくれたし、僕のアシストにも満足している。これが僕の望むプレーの仕方だと思う。多くの選手がプレーに絡んで、みんなハッピーでいられるよね。特に昨シーズンを経た後では、運動能力の高い若手が必要なのは明らかで、VJとクエンティンがチームを後押ししてくれるだろう。もちろんポール・ジョージも復帰するし、タイリースは選手として次の段階に進もうとしている。そう考えると僕たちは良い感じだと思うよ。あとは僕たちがチームとしてどれだけ一体感を出せるかだ」
ケガのことを問われると「過去のことは振り返りたくない」とエンビードは答えた。「でも今は心身ともに良い状態にある。バスケットボールに触れてプレーし、大好きなゲームができることに満足している。今日プレーしている間、『バスケをプレーしてチームに貢献できている!』という喜びをずっと感じていた。プレーできない時は気持ちが沈むからね、今はうれしいよ」
長いブランクの影響は? 試合が始まって最初のシュートがそうだった。全くリズムのないまま不意に放ったシュートは、リムをかすめただけに終わった。「それなりに長いキャリアを積んでいるから、興奮はしていたけど平常心のつもりだった。でも最初のシュートは自分でもひどかったと思うよ(笑)。自分の中でどういう判断だったのか分からないけど『とにかく打つんだ』と思ってしまった。良いタッチだと思ったのに全然ダメだった」とエンビードは笑う。
「でも、これまでと違ったのはそのプレーだけだ。家族と過ごし、昼寝をしてからアリーナに来て試合をする。コートに立っているという事実に興奮したし、プレーを楽しむことができた。今の僕にとっては、それで十分なんだ」