「ジェッツが組織として何をしたいのかわかっています」
12月10日、千葉ジェッツはホームで川崎ブレイブサンダースを88-69と撃破し、今シーズン17勝目を挙げた。
この試合は前半こそ43-37と互角の展開となったが、千葉Jは後半になって地力の違いを見せた。川崎の安易な連携ミスをしっかりと突いてイージーシュートの機会を作り出し確実に得点すると、逆にディフェンスでは集中力を高めて激しいマークからタフショットを打たせる。こうして攻守の両方において遂行力で上回り、最終的に大差をつけた。
千葉Jは6日の試合で右肩を脱臼した金近廉に加え、ナシール・リトルもコンディション不良で欠場。ローテーション入りの選手を2人欠く中、チーム全体のステップアップによって勝ち切った。トレヴァー・グリーソンヘッドコーチも、「選手がいない中でリーダーグループが引っ張ってくれたのが大きかったです。フミ(西村文男)が豊富な経験を生かして第1クォーターでチームを助けてくれた。そしてマイク(マイケル・オウ)、ガク(荒尾岳)が続いてくれました。また、タシ(田代直希)のハッスル、ディフェンスのエナジーも素晴らしかったです」と称えている。
千葉Jのゴール下を支えるムーニーは、フィールドゴール12本中10本成功の20得点8リバウンド3ブロックと、攻守に渡る活躍ぶりで勝利の立役者となった。ムーニーは「ネクストマンアップのメンタリティで戦いました。欠場したナシール、廉の代役はいないので、みんながステップアップしないといけない。それぞれが、いつもより少しずつ多くの役割を担うことで穴を埋めることができました。チームとして素晴らしい勝利でした」と試合を振り返る。
そして、後半に突き放せた要因をこう見ている。「少し戦術を変えたところはあります。ただ、一番はボールをよく動かし、自分たちがやりたい速いペースができました。そしてディフェンスではリバウンドをしっかりと取れたことが大きかったです」
冒頭で指揮官が言及したリーダーグループとは、富樫勇樹、渡邊雄太、原修太、ジョン・ムーニーのことをさす。このカルテットでムーニーは唯一の外国籍だが、チーム在籍は今シーズンで5年目となる。今シーズンはキャプテンを務めているが、これまでの実績から納得の人選だ。
ムーニーは、リーダーとしての意気込みをこう語る。「僕と勇樹、原は今年で一緒にプレーするのが5年目とお互いをよく知っています。そして、ジェッツが組織として何をしたいのかわかっています。リーダーの役割にプライドを持っていますし、毎日ハイレベルな行動を続けていくだけです」
「改善する余地は常にあります」
「5年もいるなんて最初に加入した時はまったく思っていなかった」と語るムーニーだが、「このチームのことを愛しています。チームメート、スタッフ、球団職員の人たち、そしてファンの皆さんのことが好きです。みんなのために毎日、ベストを尽くし、これからもジェッツでプレーできることを望んでいます」と千葉Jへのチーム愛を続ける。
「これだけ長く1つのチームに在籍するのは選手、チームそれぞれが互いのことを大切に思っているからこそ。ジェッツが僕のことを本当に信頼してくれていると感じています。その気持ちに毎日の試合で応えたいですし、だからこそ、このチームのリーダーを務めたいです」
開幕から順調に貯金を増やしている千葉Jだが、ムーニーは「今のチームはグッドなレベルですが、グレイトではないです。改善する余地は常にあります。まったく満足することはないです」と強調する。これは、千葉Jの至上命題である王座奪還のために『グレイトなチーム』に仕上げる必要があるという思いがあるからだ。
そしてムーニーは、さらなる進化のために必要なマインドセットをこう語る。「毎日、より良くなろうとすること。今がベストではいけないですし、チャンピオンシップが行われる5月に僕たちのベストなプレーを見せたい。これからの試合で今よりも良くなっていくために必要なことを見つけ、勝った試合、負けた試合、すべてのプレーから学んでいくだけです」
現状にまったく満足していないのは自身のパフォーマンスについても同様だ。ここまでフィールドゴール成功率60%以上という高確率で平均15.3得点を挙げ、11.8リバウンド、3.1アシスト。出場時間の得失点でも2位の富樫(6.1)を大きく上回るチームトップの9.5をマークしているが、「守備ではもっと足を動かせる。オフェンスではシュートをもっと良くできます。リーダーシップについては、もっと声を出して引っ張っていくことに慣れていきたい」と自分に厳しい。
ここから突入するシーズン中盤戦は、年明けに天皇杯を戦う千葉Jにとってより過酷なスケジュールとなる。故障者もおり厳しい戦いが予想されるが、ムーニーという絶対的な大黒柱がコートに立ち続ける限り、千葉Jの勢いは止まりそうにない。

