2ウェイ契約から成長したロールプレーヤーを放出
現地8月15日、ヒートはネッツにヘイウッド・ハイスミスと2032年の2巡目指名権を放出し、2026年の2巡目指名権を得るトレードを発表した。
ハイスミスは2018年のNBAドラフトで指名を受けられず、2018-19シーズンに2ウェイ契約を結んだセブンティシクサーズでNBA5試合に出場。それでも主戦場はGリーグで、その後はNBAでの試合出場がないまま、新型コロナウイルスのパンデミックがNBAを脅かす時期にGリーグとヨーロッパを行き来する不安定なキャリアを余儀なくされた。
転機となったのは2021-22シーズン途中のヒート加入だった。ドラフト外の選手でも強みに注目してブレイクへと導くヒートのやり方がハマり、ペリメーターディフェンスと3ポイントシュートを押し出すことでローテーション入りを果たす。3年契約を全うして昨年オフには2年1080万ドル(約16億円)の契約延長を勝ち取った。
こうして貴重なロールプレーヤーへと成長した彼をヒートが放出するのは驚きだが、ヒートにはサラリー削減に迫られていた。加えて、ハイスミスは先週に右膝半月板を手術しており、間もなく29歳になることで今後の伸びしろも期待しづらい。他に若いロールプレーヤーの台頭もあり、サラリーの削減だけでなくロスター枠も空ける必要があったヒートは、ハイスミス放出を決めた。
過去2シーズン連続でラグジュアリータックスの対象でありながら、プレーオフではファーストラウンド敗退。昨シーズンは『ジミー・バトラー問題』に振り回されてバスケに集中できない状態も経験した。空いたロスター枠に若手(ガードのドリュー・スミス)を加えることで、ヒートはラグジュアリータックスを回避できる。ここからチームは再出発、リピータータックスを一度リセットして、次なる勝負に出る。
現状、ヒートらしからぬベテランの多いロスター構成となっているのは『ジミー・バトラー問題』が今も尾を引いていると言うべきか。しかし、ベテランの多くは契約が残り1年で、来年オフまでの間に大物フリーエージェントを狙うことも、契約切れの近い選手をサラリーの負担に苦しむチームに譲渡するトレードでの戦力補強もできる。
ヒートにタンク(ドラフト指名順位を上げるために故意に負ける戦略)の文化はないが、この1年は若手にチャンスを与え、成長を待つことになりそうだ。長期契約を保証しているのはバム・アデバヨのみ。1年後には彼を軸として高い競争力を持った新生ヒートが誕生していることが期待できそうだ。