パスカル・シアカム

第3クォーターにトランジション炸裂で突き放す

ペイサーズは3勝2敗で迎えたカンファレンスファイナル第6戦を125-108で制し、2000年以来25年ぶり2度目となるNBAファイナル進出を決めた。

すでに6試合目、お互いの手の内を知り尽くす中で前半はなかなか点差が離れなかったが、わずかな差であってもホームのペイサーズがリードする時間帯が長く、なおかつハイスコアゲームの展開に持ち込めているという点で優位に立っていた。

そしてペイサーズは、第3クォーターを34-23として突き放す。前半にミッチェル・ロビンソンがオフェンスリバウンド5つを記録。そこからセカンドチャンスポイントに繋げるだけでなく、ディフェンスリバウンド確保まで気が抜けないことでペイサーズは得意のトランジションの出足が遅れていた。その流れを変えたのは『伏兵』トーマス・ブライアントだ。前半はわずかなプレータイムしかなかったブライアントが、第3クォーターには出場9分間でボックスアウトを徹底し、ロビンソンに1つのオフェンスリバウンドも与えない。ロビンソンはリバウンドが記録されなくてもティップで繋ぐプレーを得意とするのだが、それも許さなかった。

これでブレイクが出始めると試合の流れはペイサーズに傾く。走る展開の中での連携、パスワークではペイサーズはニックスを圧倒できる。そんなプレーが出るたびにゲインブリッジ・フィールドハウスは大いに沸き、それがペイサーズに新たな活力を与えた。

点差が10点、15点と開き始めると、ニックスは冷静ではいられない。個々の奮闘で取り返そうとするも、それは攻守のチームワークの乱れを生み、そこをペイサーズに突かれることとなった。

そうなると、タイリース・ハリバートンへの粘り強い守りも継続できなくなる。ミケル・ブリッジズを中心にハリバートンが繰り出すツーメンゲームに上手く対処していたのだが、最初のピックのところで抑えられなくなり、第4クォーターだけで11得点4アシスト、試合を通じて21得点13アシストとの大暴れを許した。

「僕たちらしくベストを尽くせばチャンスはある」

パスカル・シアカムは31得点を記録。守備とリバウンドで奮闘しつつ、トランジションになれば先頭を切って走るシーンが何度もあり、アグレッシブな姿勢を貫いた彼は、カンファレンスファイナルのMVPを受賞した。

ラプターズ時代に優勝経験を持つシアカムは「当時はまだ3年目で、それがどんなことか分かっていなかったように思う」と、2018-19シーズンと今とを比較する。「NBAファイナルの舞台に戻って来ることがどれだけ大変か、それを身をもって体感した。だから僕は今、周囲の人たちにすごく感謝の気持ちを持っている。みんなの力でここまで来れたんだ」

「今夜はみんなで勝利をお祝いする。そしてNBAファイナルに向けて再び気を引き締めるよ。僕らを待っているのはNBAで最高のチームだ。これまでとは全く違う舞台で強敵に挑むことになるけど、僕たちらしくベストを尽くせばチャンスはある」