
エンビード「僕たちは攻守ともに一つに繋がっている」
セブンティシクサーズが屈する要素はいくらでもあった。第3クォーターに最大18点差を付けながらセルティックスの3ポイントシュート攻勢に追い上げられた。ジョエル・エンビードは終盤にスタミナ切れを起こし、虫垂炎の手術で17日間チームを離れた影響を露呈していた。そしてTDガーデンの観客は、逆転勝利の予感に盛り上がっていた。
エンビードは39分のプレーで34得点12リバウンド6アシストを記録。試合が始まってすぐにピック&ポップからミドルジャンパーを決めると、ゴール下でも強さを発揮し、マークするニーミアス・ケイタを圧倒した。ヘルプが来れば丁寧にパスをさばき、もちろんディフェンスの局面でもリムプロテクターとして圧倒的な存在感を発揮した。シクサーズ優勢の流れは、間違いなく彼が作り出していた。
セルティックスではジェイレン・ブラウンが同じ役割を担い、40分のプレーで33得点9リバウンド4アシストを記録。しかし、ティップオフの瞬間からアクセル全開で飛ばした『GAME7』の終盤に2人とも体力的に限界を迎え、そこでセルティックスはジェイソン・テイタムが欠場していたのに対し、シクサーズにはタイリース・マクシーがいた。
1ポゼッション差の攻防が続いた第4クォーター残り3分半、エンビードはブラウンをポストアップで押し込んでフックシュートを放つも、体力的にあと一歩を踏み込めなかったことでこれを外した。続くポゼッションでエンビードが右コーナーでオープンになるも、3ポイントシュートは決まらず。その次はポール・ジョージに攻めを託したが、神懸かり的な集中力を見せるブラウンのブロックショットに阻まれた。この時点でマクシーは『自分が決める』と意識を切り替えた。
残り2分、ピック&ロールからリムへと加速したマクシーが、ケイタを振り切ってレイアップを沈める。そしてブラウンのドライブを身体で止めて守りきると、再びケリー・ウーブレイJr.のスクリーンを使ってトップスピードに乗り、今度はブラウンとペイトン・プリチャードまでヘルプに来たにもかかわらず、アクロバティックなレイアップを決めた。
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— Philadelphia 76ers (@sixers) May 3, 2026
この間、セルティックスの3ポイントシュートは当たらなくなっており、両チームとも疲弊する中でシクサーズの選手たちは身体を張ってリバウンドに飛び込み、ポゼッションを死守していた。ブラウンを止めたマクシーがエンビードの膝に倒れていたが、エンビードは苦悶の叫びを上げながらもリバウンドを取り、そのままプレーを続けた。
満身創痍だったが、戦う姿勢は全く変わらなかった。プレーオフではずっと勝敗を左右する肝心なところで精神的な弱さを出してきたチームが、その対極にあるセルティックスを上回る見事な戦いぶりを見せ、109-100で『GAME7』を制した。
「第4クォーターそれまではジョエルに任せていたけど、そろそろ僕の出番だ、試合を決めるんだと感じた」とマクシーは言う。
45分のプレータイムを通じて攻守に強度の高いプレーを貫いたマクシーだが、まだ余裕を残しているように見えた。「オフにめちゃくちゃハードなトレーニングしているし、シーズン中も週に4、5回はウェイトトレーニングをしている。だから今この瞬間も疲れは全く感じていない。チームが勝つためなら何でもする。最高のレベルで戦う準備はできているんだ」
そしてエンビードも、マクシーのような頼れる仲間の存在に感謝した。「過去のチームメートを悪く言うつもりは一切なくて、これまで起きたことの責任は常に僕にあるし、僕の力不足で負ける試合もあった。でも今は、僕が1ポゼッションか2ポゼッション休んでも、信じて託せる仲間がいる。マクシーの成長、PG(ジョージ)のビッグショット、VJ(エッジコム)の活躍。ずっと言ってきたけど、バスケは一人じゃ勝てない。今の僕たちは攻守ともに一つに繋がっている。美しい光景だと思うよ」
その自信はチーム全員に共通するもの。マクシーも「僕たちは自分たちが何者か知っている。シーズン最初の会見で『すべての試合で全力で戦う』と話した、その言葉を実践しているんだ」と語る。
「ひどい負け方をすることもあったけど、お互いを信じる気持ちが揺らぐことはない。ベンチにいても、試合に出ていないメンバーも、お互いのプレーを称え合い、アドバイスを送り、仲間を鼓舞した。それができるこのチームは特別だと感じているよ」