
「自分の長所はシュートと明確にして取り組みました」
現在、男子日本代表はフル代表候補となる若手選手を対象としたディベロップメントキャンプを行っている。NCAAでプレーしている選手たちが数多くいる中で存在感を発揮しているのが、昨シーズン終了後にラドフォード大からノーザンコロラド大へと転校した山﨑一渉だ。
山﨑は仙台大学附属明成で世代トップの選手として活躍。サイズと外角シュート力を兼ね備えた逸材は高校3年時に母校をウインターカップ優勝に導くと、2021年のU19ワールドカップでも平均14.6得点、4.0リバウンド、3ポイントシュート成功率は43.9%を記録した。
その後、NCAA1部のラドフォード大に進学すると、1年目はベンチプレーヤーとして経験を積んだ。2年目に飛躍が大きく期待されていたが、シーズン直前に右膝前十字靭帯断裂、内側側副靭帯損傷、半月板損傷の重傷を負いシーズン全休となってしまう。ここから懸命のリハビリによって昨シーズンに復帰を果たすと、33試合出場で平均21分出場、5.9得点の活躍で主力の一員となった。今秋からはさらなるステップアップを求めてノーザンコロラド大でプレーする。
「アメリカに行って苦しいことがあった中、そこを踏ん張って今があると思うので、選ばれてうれしいです」
こう合宿参加への思いを語る山﨑は、リハビリ期間をこう振り返る。「家族をはじめ、みんなの支えで乗り越えられたところが大きく、今まで以上に責任感を持っています。これまでずっと走ってきましたが、ケガの影響で1年間プレーできなくなったからこそ、自分が取り組むべきことが明確に見えてきて、充実した期間にできました」
リハビリ期間中、山﨑は「自分の長所はシュートと明確にして取り組みました」と武器の精度を高めることに注力。その結果、「ディフェンスの圧だったり、スピード、高さが違って打てなかったところがありました」と、1年目はNCAAへのアジャストに苦戦して22.9%だった3ポイントシュート成功率を昨シーズンは36.8%に向上させている。

「日本にいられる数少ない期間でアピールできたら」
今回の合宿には山﨑と同年代の選手たちが多く、「自分がケガをした時期に同世代の選手が成長してすごく活躍していたので、自分も負けていられないという思いでリハビリに取り組んでいました。こうしてキャンプに呼ばれたのはうれしいですし、楽しいです。刺激になっています」と語る。
そしてライバルたちに負けない持ち味として「シュートが一番の武器。アメリカでもシュート力は評価されています。この合宿でも決めることができています」と、外角のシュートには大きな自信を持っている。
ディベロップメントキャンプに招集されたことに喜ぶ一方で、今の山﨑はもっと上を見据えてもいる。「日本代表に入りたい気持ちが強いので、日本にいられる数少ない期間でアピールできたらと思います。次のキャンプにも進んで、A代表でやっている人たちと一緒にプレーしたい。それで自分がどれくらいのところにいるのか分かると思います」
トム・ホーバスの掲げる3ポイントシュート重視のスモールボールは、山﨑の持ち味を存分に生かせるスタイルだ。これまでの代表にいなかった200cmのサイズを持つ大型シューターとして日本代表にさらなるステップアップをもたらすピースとなり得る。
「最終的にはしっかりと日の丸を背負い、中心としてチームを引っ張っていける存在になりたいです」と語る山﨑にとって、今夏の合宿参加は目標達成のための第一歩となる。