アンソニー・エドワーズ

ジュリアス・ランドルとナズ・リードの去就に注目

ティンバーウルブズはサンダー相手に1勝4敗で敗れシーズンを終えた。レブロン・ジェームズとルカ・ドンチッチを擁するレイカーズ、ステフィン・カリーとジミー・バトラーを擁するウォリアーズとのシリーズをいずれも4勝1敗で制する強さを見せたが、サンダーの勢いと攻守のバランスに歯が立たなかった。

ウルブズは若いチームであり、2シーズン連続のカンファレンスファイナル進出には大きな意味がある。それでもサラリーキャップの厳しい制限は、昨年オフに『チームの顔』だったカール・アンソニー・タウンズの放出を余儀なくさせ、今オフにも再編が必要となる。

ウルブズは8人ローテーションを採用しており、先発はマイク・コンリー、アンソニー・エドワーズ、ジェイデン・マクダニエルズ、ジュリアス・ランドル、ルディ・ゴベアの5人で不動だが、指揮官クリス・フィンチはナズ・リード、ニキール・アレクサンダー・ウォーカー、ドンテ・ディビンチェンゾの3人も先発と同じぐらい重用している。しかし、ウォーカーは今シーズン限りで契約が切れ、ランドルとリードもプレーヤーオプションとなっている契約最終年を破棄すればフリーエージェントとなる。

3人ともオフの去就についてはこれから考えると話すが、立場は三者三葉で、ウォーカーはウルブズ残留を優先したいと明言し、ランドルは「まだ何も考えていない」と言い、リードは「自分は先発で起用されるべきだ。それだけの努力をしてきた」と話す。

指揮官フィンチは「基本的には全員が残留することを願っている」と語ったが、それは難しい。ランドルとリードは残留するにしても新たな複数年契約を、特にリードは大幅な昇給を要求するだろう。そもそも1年前、タウンズをトレードしたのは財政危機を回避するためで、代わりに契約年数の短いランドルを獲得したのだから、ランドルに長期契約を与えるのでは整合性が取れない。

2年連続のカンファレンスファイナル進出には価値があるが、今後何年も彼らの前にはサンダーが立ちはだかるだろう。ウルブズよりも強く、その強さは何年も続く。そう考えればエドワーズとマグダニエルズを軸にチームを再編する選択肢も検討すべきだろう。ティム・コネリーGMは『攻めの編成』をするタイプ。今回のプレーオフだけでなく、先々まで見据えてウルブズの将来に重要な決定を下すはずだ。

アンソニー・エドワーズは精神的な弱さを克服できるか

それと同時に、エースのアンソニー・エドワーズには引き続きの成長とともに意識改革が求められる。サンダーとのシリーズを通じて、彼は一般的なエースに求められる大量得点、クラッチタイムにタフショットをねじ込む強引さの欠如を批判された。彼に言わせれば、自分が相手の守備を引き付けてアシストを狙うのが『正しいプレー選択』なのだが、それでチームが勝てないのであれば「アント(エドワーズ)が決めていれば」との批判は免れない。

しかし、エドワーズがその批判に憤慨しているのは明らかだ。敗退が決まった翌日に行われたシーズン最後の会見を彼は欠席した。

ウルブズがどう変わっていくにせよ、その中心はエドワーズであり、彼には責任を背負う覚悟が求められる。プレーの面でも、スマートにパスを出すだけでは勝てない局面を打開する積極性が必要となる。

指揮官フィンチは「彼の成長ぶりは素晴らしい。23歳でカンファレンスファイナルを2度経験し、様々なチームの戦術に対応し、多くの勝利を積み重ねてきた」と、アントへの批判に釘を刺しつつも、エースへの批判を認める発言もあった。

「このまま努力を続けていけば、多くのことが改善できる。もちろん、終盤の得点力はもっと磨くべきだ。どの位置からどのシュートを打つか、その改善は我々もサポートしていく。それに、アタックすることでファウルを引き出すのも重要だ。今のリーグでそれが効果的なのは明らかだ。彼が好むプレースタイルではないし、スキルより考え方の問題だろうが、その方向へ少しシフトする必要もあるだろう」

勝負どころで自分で得点を取りにいくことの是非と、シーズン最後の記者会見を欠席したこと。この2つは全く異なるようで、エドワーズの精神的な弱さを象徴している。『チームの顔』であれば、ここでチームを代表してコメントする義務から逃げてはいけない。だが、この会見の一番手で登壇し、選手を代表してシーズンを総括したのはベテランのマイク・コンリーだった。

コンリーは経験豊富で賢く、頼りになるリーダーだが、今のアントがその役割を投げ出すのは間違っている。これはチームメートに対して、「気分が乗らないから代わりにやっておいてくれ」と言っているようなものだ。来シーズンに向けてのチーム編成も大事だが、それ以上にエドワーズの精神的成長が、ウルブズの将来を左右すると言っていいだろう。