シャメットにライト、出場機会のなかった選手が活躍
レギュラーシーズン開幕から数えて97試合目にして初めて、ニックスの指揮官トム・シボドーは彼の寵愛するスタメンを変更した。ジョシュ・ハートがベンチに回り、ミッチェル・ロビンソンが先発に。主力を重用するシボドーは、これまでジェイレン・ブランソン、ミケル・ブリッジズ、OG・アヌノビー、カール・アンソニー・タウンズ、ハートの5人がプレーできる限りは先発させ、できるだけ長いプレータイムを与えてきた。これは今シーズンに限らない。昨シーズンのプレーオフでもスタメン変更はアヌノビーがケガで戦線離脱した時にしか行わなかった。
そんな異例の選手起用が必要なほど、ニックスは追い詰められていた。カンファレンスファイナル最初の2試合で連敗。ペイサーズのスピードに振り回され、選手が疲弊してクラッチタイムの強さを発揮できない状況を受け、負けられない試合でぶっつけ本番のローテーション変更という賭けに出た。
106-100で勝利した後、トム・シボドーは「際どい試合だった」語る。「良いスタートを切ったと思ったが、ファウルトラブルで苦しくなり、何とか食らい付く展開となった。そして第4クォーターに最高のプレーをしてくれた」
シボドーのテコ入れは先発の入れ替えだけではなかった。ローテ外に置かれていたデロン・ライトとランドリー・シャメットもコートに送り出し、彼らが苦しい時間帯をよく繋いだ。「ジェイレンがファウルトラブルになった時にマイルズ・マクブライドが支えてくれたし、ランドリーとディロンも良い仕事をしてくれた」
シャメットはプレーオフここまでで合計30分、ライトに至っては1試合3分プレーしたのみ。これまでシボドーからは無視されてきた形だが、指揮官は「ランドリーはトレーニングキャンプで不幸なケガをしたが、それを乗り越えてシーズンを通してずっと献身的に働き続けた。デロンもシーズン途中の加入だが、同じく献身的だった」とその姿勢を称える。
「ファウルトラブルで想定よりもプレータイムは伸びたが、今日はこれまでと違うプレーをもたらすために彼らを起用するつもりだった」とシボドーは言う。チャンスを与えられた選手たちは期待に応えたし、スタメンから外れたハートもロビンソンより長い34分のプレータイムを得て、8得点10リバウンド4アシストと攻守に奮闘した。
ブランソンのファウルトラブルという誤算はあったが、20点ビハインドからチーム一丸での追い上げを見せた。そのおかげで彼はプレータイムが30分といつもより多くの余力を残し、同点の残り1分半でコートに戻って来た。そして、すぐさま勝ち越しのフローターを沈めて、それがニックスに勝利をもたらした。
「それまでの試合展開を気にするんじゃなく心をクリアにして、ただその瞬間に集中しようとしていたんだ」とブランソンは言う。「このシリーズは予測不可能だ。どれだけリードしていても安心できないし、終了のブザーが鳴るまで戦い続けることになる。ペイサーズは素晴らしいチームで、僕は大きな敬意を抱いている。その上で自分たちのバスケを貫き、粘り強く戦い続けるつもりだ」