ニコラ・ヨキッチ

ヨキッチ依存と選手層、2つの課題に最高の形で応える

ナゲッツとクリッパーズのプレーオフ・ファーストラウンドは、前評判に違わぬ白熱した戦いとなり、『GAME7』までもつれ込んだ。

ナゲッツは第1クォーターで21-26とビハインドを背負ったものの、ニコラ・ヨキッチがフィールドゴール5本すべてを外し、フリースローによる2得点とシュートタッチに苦しみながらも6アシストで周囲の選手に点を取らせていたのは良い傾向で、それは第2クォーター以降にナゲッツの流れをもたらした。

ナゲッツの弱点とされていたセカンドユニットから、ラッセル・ウェストブルックとペイトン・ワトソンが第2クォーターに15得点を挙げ、しかもその半分はヨキッチ不在の時間帯のもの。クリッパーズは苦しくなるにつれてカワイ・レナード頼みの攻めが増え、カワイが10得点で支えていたものの、ナゲッツの勢いに次第に押し込まれていった。

前半を終えて58-47と逆転したナゲッツは、第3クォーターにさらなる力を発揮する。後半最初にカワイの3ポイントシュートを許すも、そこから17連続得点を含む24-4のランで、82-54までリードを広げる。この怒涛のランでヨキッチの得点とアシストは半分以下だったが、それはヨキッチ依存と選手層という長らくの課題に最高の形で応えることとなった。

昨シーズンのカンファレンスセミファイナルで、ナゲッツはティンバーウルブズを相手に最大20点あったリードを溶かし、逆転での敗退を喫している。この時は主力にプレータイムが偏っていたためにガス欠を起こし、ウルブズの勢いに飲み込まれたが、今回その轍は踏まなかった。攻守にチームプレーが機能し、ウェストブルックとワトソンが主力を休ませる時間も良いプレーを見せ、クリッパーズに付け入る隙を与えなかった。ナゲッツが最終スコア120-101の完勝で『GAME7』を制した。

ヨキッチは32分の出場で16得点10リバウンド8アシスト。お馴染みのトリプル・ダブルには届かず、スタッツは目立たなかったが、全員がそれぞれの役割を果たしての勝利に満足しており、「多くの選手がステップアップし、多くの選手が得点した。ディフェンスも良かったしリバウンドも良かったよね。僕たちの力を最も良い形で表現できたと思う」と語った。

大活躍のウェストブルック「常に団結して頑張った」

ウェストブルックはベンチから27分の出場で16得点5リバウンド5アシスト5スティール。イージーなミスも少なくなかったが、それでもエネルギー全開の姿勢を貫いて攻守を支えた。勝利の立役者となった彼は、シリーズをこう振り返る。「予想通り過酷なシリーズになったけど、僕たちは団結し、堅実に、粘り強く戦った。レギュラーシーズン最後に大きな変化があったりケガ人が出たり、様々な出来事があったけど、それでも常に団結して頑張ったことが、このチームの強さだと思う」

クリッパーズは昨シーズンまで所属していたチームで、レイカーズで評価を落とした彼に復活の機会を与えてくれたが、定着には至らなかった。それでも今はナゲッツに見事にフィットし、デンバーのファンの声援が36歳になった彼に若々しいエネルギーを取り戻させている。

「ファンに支持されることがどれだけ恵まれているか。何度も言っているけど、本当に感謝しているんだ」とウェストブルックは笑う。「神様からバスケの才能を与えられた僕は、このゲームにすべてを捧げて人々に勇気を与えたいと思っている。それを喜んでくれるファンにはいつも本当に感謝しているよ」

カンファレンスセミファイナルで対戦するのは西カンファレンス1位のサンダーだ。各ポジションに充実した戦力を誇るチームと渡り合うには、引き続き彼のエネルギーが必要だ。そして彼にとっては、キャリアの最初から全盛期を過ごした愛着ある古巣とのプレーオフでの再会となる。

「僕にとってサンダーは故郷のようなもの。そこにいる人々やファンを愛しているし、その愛は相互のものだ。彼らが僕を愛してくれる理由は、僕が常に高いレベルで競うからだ。だから僕は彼らの前で自分らしくプレーして、勝つために全力を尽くすつもりだ」