
「100%ケガの再発の怖さなくプレーできている」
島根スサノオマジックは西地区2位で2年ぶりのチャンピオンシップ出場を決め、クォーターファイナルでは同地区1位の琉球ゴールデンキングスと対戦する。中心選手である岸本隆一を故障で欠く琉球とはいえ選手層は厚く、戦いの舞台はリーグ屈指の一体感と熱狂度を誇るアウェーの沖縄アリーナだ。間違いなく島根にとってタフな戦いとなる中、チームの起爆剤として期待したいのがコティ・クラークだ。
今シーズン、島根は開幕から順調に勝利を重ねていたが、3月から4月中盤にかけて黒星が増えたことで地区優勝を逃してしまった。この失速の要因は、クラークが右ヒラメ筋肉離れによって約1ヶ月半に渡って戦列を離れていたことだ。
201cm、118kgのがっちりした体格を生かしたインサイドアタックに加え、クラーク最大の持ち味は3ポイントシュート。クイックリリースから放つ長距離砲は、一度、波に乗ると続けて決まる爆発力を備えている。島根がアウェーの不利を乗り越え、琉球を撃破するにはクラークのオフェンスにおける本領発揮が大きなカギとなる。
復帰後、5試合を終えた今のコンディションをクラークはこう語る。「今は気分よく、コートで動くことができています。ゲームコンディションは、トレーニングや練習によって取り戻せるものではないので、残りの2試合は重要です。今は、100%ケガの再発の怖さなくプレーできている。ただ、試合勘であったり、ゲームコンディションは85%から90%といったところ。広島での2試合で100%に戻し、1週間かけてチャンピオンシップの準備が出来ることを望んでいます」
自身がコートに立てず、チームの黒星が増えている現状を見守るしかなかったことは「僕が離脱した後、チームが苦戦している姿を見るのは心が痛んだ」とメンタル的にも辛かったと明かす。
ただ、今のクラークは、しっかりと気持ちの切り替えができている。「今は、災い転じて福となると思っています。欠場している間、自分の役割であり、自分がどのようなインパクトを与えられるのかより知ることができました。ケガをしたことは悲しかったですが、同時に神から自分をさらに成長するための多くの方法を与えられたことに感謝しています。この経験をこれからコート上で生かしていきたいです」

「全て島根のためにプレーするだけです」
レギュラーシーズン最終節となった4月26日、27日に島根はホームで琉球と対戦。CS前哨戦となった対決でゲーム1は敗れたが、ゲーム2でやり返した。試合後、クラークは「今日はただの1勝ではないです。島根でのホーム最終戦で、この会場が改修でしばらく使えなくなることは分かっています。だからこそ、チーム、ファン、地元コミュニティーにとって、ただの1試合以上の意味がある試合でした」と語る。
そして、琉球にレギュラーシーズンで勝ち越したことの価値は大きいと続ける。「みんなレギュラーシーズンで戦った相手については試合のことを覚えている。彼らは地区王者で、僕たちは同じ地区の2位だけど、直接対決では僕たちが3勝1敗と勝ち越した。だからこそ、彼らは僕らより勝つことへのプレッシャーを感じていると思います」
「再びプレーオフに出場できるのは栄誉なことです。琉球にはホームコート、これまでの歴史といったアドバンテージがあります。簡単な試合にならないことは分かっているし、必ず来る苦しい時間帯を乗り越えられいといけない」とクラークは、相手へのリスペクトを強調した上で確固たる自信を持っている。
「多くのチームは、琉球のフィジカルに対抗できないかもしれません。琉球にはサイズのある選手が揃っています。ただ、島根には僕、ニック・ケイ、ルーク・エヴァンス、ジェームズ・マイケル・マカドゥがいてフィジカルでやり返して、琉球を消耗させることができる。ドッグファイトの準備はできています」
クラークにとってCSは3年連続3度目だが、過去2年間は名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、三遠ネオフェニックスでそれぞれクォーターファイナル敗戦に終わっている。ただ、「今は新しいチームで、新しい章を歩んでいます」と、過去2年のリベンジという感覚はない。
今の彼は「ただ、良いプレーをするだけです。コンタクトの激しい試合になるけど、それがプレーオフです。自分たちのバスケットボールをして楽しみ、感謝する。チームメート、家族、地元コミュニティー、クラブ、オーナーシップと全て島根のためにプレーするだけです」と、チームのために勝つことしか考えていない。