
「多くのケガを乗り越えて地区タイトルを取り戻した」
琉球ゴールデンキングスは4年連続のファイナル出場と2年ぶりの王座奪還を目指し、今シーズンのチャンピオンシップを迎えることになった。
昨シーズン終了後、今村佳太を筆頭に複数の主力選手がチームを離れ、変革期を迎えた琉球はシーズン中盤までは安定感を欠き、苦しい時期を過ごしてきた。しかし、3月中旬の天皇杯優勝を弾みに、そこから破竹の16連勝を記録し、西地区優勝も達成した。4月27日の島根スサノオマジックとのゲーム2に敗れて連勝はストップしたが、良い流れに乗ってポストシーズンに臨むことが出来る。
琉球の一番の強みであるリバウンドを支えるジャック・クーリーは、今のチームに手応えを感じている。「大きな自信を持っています。このリーグではどんな相手にも楽に勝てない中で、連勝を16まで伸ばせたことは誇りです。多くのケガを乗り越えて地区タイトルを取り戻した。これからチャンピオンシップに集中していきます」
また、「どんな試合でも負けたくはありませんが、アウェーでの試合はタフです。島根はレギュラーシーズンのホーム最終戦で、本当にハードにプレーしていました。敗戦を引きずるのは良くないので、自分たちのやるべきことにフォーカスするだけです」と、連勝ストップの影響はないと続けた。
順調に調子を上げている琉球だが、4月中旬にはチームの顔である岸本隆一が故障で離脱するという大きな困難に直面した。今シーズンでチーム在籍6年目となるクーリーにとっても、その喪失感は大きかった。「岸本とは、キングスに加入してからずっと一緒です。彼は僕以上にタフな選手で、彼がいなくなるのは本当に辛いです。どんなに厳しい状況でも彼を見ることで、自信を与えてもらっていました。彼はキングスを体現する存在です」
そのうえでクーリーは、今は気持ちを切り替えていると語る。「彼の離脱は、僕個人にとっても乗り越えなければならない出来事でした。僕たちは彼のためにもハードにプレーし、彼に誇りに思ってもらえるように、自分たちの仕事をやり遂げます」

「みんなが穴を埋めようとする気持ちでプレー」
岸本の離脱により注目されるのが、約1か月前に加入したばかりのルーキー崎濱秀斗の存在だ。高校時代、福岡第一で世代屈指のスターガードとして活躍した19歳の崎濱に対し、クーリーは大きな信頼を寄せている。
「秀斗は恐れることなく、ハードにプレーしています。今日も自信を持ってシュートを打っていました。僕は常に若い選手をボディガードのような気持ちで見守っていますが、秀斗は自分で困難を乗り越えられるタフな選手なので、大丈夫だと思います」
今シーズンの琉球は、今村の移籍を機にルーキー脇真大が台頭。さらに開幕直後に伊藤達哉が負傷離脱すると、B3の横浜エクセレンスから加入した平良彰吾が見事な活躍を見せるなど、次々と新戦力がステップアップし困難を乗り越えてきた。
クーリーもチームの総合力に大きな自信を持っている。「フロントオフィスの補強にはいつも満足しています。彰吾も秀斗も、チームが必要とする選手を獲得してくれました。脇は1年を通して素晴らしいパフォーマンスを見せていて、新人王は間違いと思います。誰かが欠けたとき、みんなが『その穴を埋めよう』という気持ちでプレーしています。連勝中には荒川颯も素晴らしい活躍を見せてくれて、彼もチームにとって大きな存在となっています」
岸本の代役となれる選手はいないし、大舞台になればなるほど彼の勝負強さがいかに大きな助けになっていたのか痛感するだろう。それでもクーリーは「自分たちのプレーで、試合の流れをつくることが出来れば、必ず優勝のチャンスは生まれてきます」と今のメンバーで頂点を狙えると信じている。琉球のバスケはリバウンドを制することであり、その要となるクーリーの大暴れが勝利には欠かせない。