デイミアン・リラード

血栓症を乗り越えて復帰するも、さらなるアクシデント

現地4月27日のバックスvsペイサーズの第1クォーター途中、ロングリバウンドに反応しようとしたデイミアン・リラードは、接触のない状況でコートに倒れた。左足首を抱えて悶絶する彼は、仲間に支えられて足を引きずりながらロッカールームへと下がった。

ヤニス・アデトクンボは「デイム(リラード)のような闘争心旺盛な選手が自分の足で立てないのを見ると、深刻に考えざるを得ない。厳しい状況だけど、最良のシナリオになることを願っている」と、指揮官ドック・リバースは「正直に言って状況は良くない」と語った。彼らは検査の結果を待たなくても、リラードの身に何が起きたのかを理解していた。

結果は左足のアキレス腱断裂。復帰まで9カ月から12カ月を要するケガで、今シーズンの終了に加え、来シーズンもほぼ棒に振ることになる。バックスにとって大きな痛手であるとともに、7月に35歳になるリラードにとってはキャリアの危機となる。

リラードは3月末に右ふくらはぎの深部静脈血栓症が発覚し、レギュラーシーズン最後の14試合を欠場した。本来であれば治療に6カ月を要する病気だが、幸運にもプレーオフを前に治療が終わり、プレーオフは初戦を欠場しただけで戦線復帰を果たした

しかし、それは『不幸にも』だった。血栓症の治療中は、血液をサラサラにする薬を服用するため出血時に止血が難しく、コンタクトありの練習ができない。1カ月以上の治療期間を経て、いきなりプレーオフの強度の高いバスケに身を置くことにはリスクがあった。

バックスの選手たちは、彼を襲った無情なアクシデントにショックを受け、ハーフタイムのロッカールームは大混乱に陥ったという。この第4戦は4つのクォーターすべてで上回ったペイサーズが129-103で完勝した。

これでバックスは1勝3敗、本来であれば指揮官リバースは逆転の可能性に懸けてチームを鼓舞する発言をすべきだろうが、この日に限ってはバックスの誰もそのモチベーションを持っていなかった。

リバースは「正直に言うが、状況は厳しい」と語る。「彼はチームのために早期復帰を果たした。血栓症を乗り越えた彼がこんなアクシデントに見舞われるなんて誰も望んでいない。選手としてだけでなく、一緒に働く仲間として、父親として、すべてにおいて彼は素晴らしい人間だ。だからこそ気の毒だし、悲しい。ケガでチームが崩れるのは何度も経験してきたが、今回は本当につらい」

リラードは第2戦で復帰する前にこんな言葉を口にしていた。「1カ月以上プレーせずに戻って来るのは初めてだ。プレーオフに間に合うかどうか分からなかったし、簡単な運動しか許可されず、本気で走ったり跳べるようになったのは数日前だ。有酸素運動だったり一人でやれる練習をしてコンディションはできる限り保ってきたつもりだ。でも、ここから強度の高い環境にいきなり戻って、簡単にプレーできるとは思っていないし、ケガのリスクもある。完璧な状況じゃないのは間違いないけど、プレーオフの早い段階でそれを乗り越えたい。僕が持っているものすべてを出し切るつもりだ」