松崎裕樹

A東京に敗れるも17点差を4点差まで追い上げる

横浜ビー・コルセアーズは成績こそ黒星先行となっているが、チーム力は着実に向上している。3月に入ってからサンロッカーズ渋谷、シーホース三河に勝利し、三遠ネオフェニックスには3点差での惜敗だった。19日に行われたアルバルク東京との水曜ゲームも71-80で敗れたが、第3クォーター終盤の17点ビハインドから第4クォーターの残り2分半に4点差まで肉薄。敗れはしたものの、強豪相手に粘りを見せた。

好調の要因として、シーズン中盤戦まで外国籍の故障離脱に苦しんだが、それが解消してベストメンバーで戦えていること、試合を重ねるごとにラッシ・トゥオビヘッドコーチの戦術が着実に浸透していることが挙げられる。また、横浜BCの持ち味は激しいプレッシャーによる強度の高いディフェンスで、それを継続するためのベンチメンバーのステップアップも大きい。その代表格がプロ2年目の松崎裕樹だ。

A東京で14分に出場した松崎は、「相手のディフェンスの強度に自分たちが引いてしまい、前半後半ともに出だしで相手に先手を取られてしまいました。追い付くところで、あと一歩エナジーが出なかった。最後は相手が試合巧者で離されてしまった」と試合を振り返る。

17点差から猛追したことは収穫だが、同時に追い付けなかったのは課題でもある。「追い上げられたことはポジティブで、強豪チーム相手に15点差以上に離されてから落ちていくのではなく、カムバックして1桁まで追い上げられたことは評価できます。でも17点差まで開く過程の中で、どうにかできたところはありました」

松崎個人としては、日本代表のテーブス海のマッチアップにつくも「何もできなかった」と大きな反省が残った。

「この前の試合までディフェンスのところで大きなミスがなかったことが評価され、3ポイントシュートの確率も上がっていました。今日はテーブス選手だったり、相手のガードにつく中、ピック&ロールへの対応、プレッシャーの与え方で自分の実力不足から流れを作られてしまいました。調子は上がってきていますが、過信せずにもう一回やるべきことを再確認して、しっかりと積み上げていきたいです」

松崎裕樹

「ゲームの主役になっていきたいです」

松崎は福岡第一と東海大で最終学年にはキャプテンを務め、チームを日本一に導いており、学生時代の実績は申し分ない。しかし、ルーキーの昨シーズンは56試合出場も平均7分55秒出場、1.3得点と存在感を出せなかった。「このままではそもそもリーグにいられない」と大きな危機感を持って臨んだ今シーズンは、ここまで平均15分34秒出場、4.0得点と成長を遂げている。

ただ、松崎は「危機感は常に持っています」と現状に満足せず、まだ自分の立場は保証されていないと冷静に見ている。

「外国籍とアジア枠の4人、(森井)健太さん、(須藤)昂矢さん、(キング)開はローテーションでプレータイムが固定されています。そこに自分を含め(杉浦)佑成さん、(大庭)岳輝さん、笹山(陸)が競争しています。今日のような反省点の多いプレーをしていたら、ローテーションから外れ、プレータイムがなくなります。競争することがチームの底上げに繋がるので、まずは主力の7人のプレータイムを奪う気持ちで自分たちがやればチームの質も上がるので、危機感と向上心を持ってやりたいです」

レギュラーシーズン残り18試合、松崎にとってファンのためにも一つでも勝利に貢献し、さらなる成長を遂げる大事な機会となる。「チームの上昇とともに自分も上がっていく。全員が重要な役割を担っていけると思います」と松崎は言い、こう続けた。「まずはディフェンスでファーストチームよりも強度を出して勢いを与えたいです。得点面でもしっかりとオープンでシュートを打ち切って、ゲームの主役になっていきたいです」

松崎はチーム内での立ち位置を確保しなければいけない立場であると同時に『主役の座』も狙っており、「それぐらいの心意気でやらないといけない」と語る。その向上心と貪欲な姿勢は、横浜BCの成長を加速させるアクセントとなるはずだ。

松崎はこう決意を語った。「ラッシコーチも『毎試合、主役が変わるチームが強いチーム』と言っています。試合で調子が良い選手を終盤に選ぶことが多いです。そこは自分でつかみ取れるもので、日々の練習からアピールして、試合で最大限表現できるようにやっていく。この気持ちにはプライドを持ってやっていきたいです」