ターンオーバーから20得点を奪った栃木が大勝
チャンピオンシップのクォーターファイナル、栃木ブレックスが川崎ブレイブサンダースをホームに迎えた第1戦。強度の高いディフェンスでターンオーバーを誘発し、それを速攻に繋げる『堅守速攻』を体現した栃木が87-57と大勝した。
序盤は互いのシュートが入らず重い展開となったが、遠藤祐亮がトランジションから3ポイントシュートを沈めることで栃木が勢いに乗る。確実にスクリーンをヒットさせ、ニック・ファジーカスがガード陣のマークにつく形を作り出すと、比江島慎や渡邉裕規がスピードのミスマッチを生かし外から射抜いた。
ディフェンスでは、ライアン・ロシターやジェフ・ギブスがバーノン・マクリンのパワープレーに対ししっかり身体を寄せ、4本すべてのシュートをミスさせるなど、粘り強さを見せた。
栃木が19-12とリードして迎えた第2クォーター。遠藤がノーマークではない3ポイントシュートを連続で沈めて優位を保つ。川崎はタイムアウト明け後のオフェンスでしっかりシュートを決めきるなど粘りを見せるが、篠山竜青のキャッチミスがロシターのバスケット・カウントに繋がるなど、噛み合わないまま前半を27-37とビハインドで終えた。
勝負を分けた第3クォーターの攻防
そして第3クォーターに試合が大きく動く。安齋竜三ヘッドコーチが「スタートのメンバーが出だしでアグレッシブにやってくれて、イージーレイアップが何本も生まれた」と語ったように、栃木の『堅守速攻』が見事な形で出た。ボールマンへのプレッシャーを高めるとともに、インサイド陣も常に半身で覆いかぶさるようにしてパスコースを消し、川崎のオフェンスを停滞させ、そこからターンオーバーを誘う。
栃木はこのクォーターだけで6個のターンオーバーを誘発。速攻で10得点を挙げたうちの8得点はターンオーバーからのもので、この『堅守速攻』がハマったことで、栃木は一気にリードを20点に拡大した。
川崎はファジーカスが10得点を挙げるも単発となり、他が続かなかった。北卓也ヘッドコーチも「狙っていたオフェンスが裏目に出てしまい、そこでターンオーバーが起きた。起点がニックのところしかなかったので、苦しいのは確かでした。第3クォーターがまずかった」と振り返る。
第4クォーターに入り、川崎はファジーカス、マクリン、シェーン・エドワーズを同時起用して一発逆転を狙うも、いわゆる『オン3』はオフェンス面で効果はあったものの、ゾーンディフェンスが機能せず、逆に点差は開いていった。残り4分40秒、渡邉の3ポイントシュートで30点差となったところで、川崎はファジーカスをベンチに下げ白旗を上げた。
誤算だったガード陣のターンオーバー
川崎を60点以下に抑える完璧なディフェンスを見せた栃木。安齋ヘッドコーチも「今日は素晴らしいディフェンスだった」と、選手たちを称えた。
持ち前の堅守が際立ったが、同時にオフェンスも87得点と大いに機能した。3本の3ポイントシュートを決めて15得点、チームに勢いをもたらした遠藤は「今日の試合は『躊躇しててもしょうがない』というメンタルで、空いたら打とうとみんなで話してた」と語る。
もっとも、実際は決してフリーとは言えない、ディフェンスが迫る状況下でもシュートを決めていた。「インサイドの選手がチェックにきていたので、入らなくてもリバウンドが取りやすい」と判断する余裕が彼にはあった。
一方、北ヘッドコーチは「栃木さんに素晴らしいゲームをされた」と負けを認めた。信頼する篠山竜青と藤井祐眞の2人がそれぞれ3ターンオーバーを犯し、そのほとんどを得点に繋げられたことを悔やむ。「ポイントガードのところでターンオーバーが起きました。そこで起こるとは思っていなかったです」
このまま2連勝で栃木がセミファイナルに駒を進めるのか、それとも、川崎が勝利し第3戦へと持ち込むのか。今日の第2戦はブレックスアリーナで18時5分ティップオフとなる。