竹内公輔

千葉Jとの強豪対決はオフェンス爆発で快勝

1月29日、宇都宮ブレックスはホームで千葉ジェッツと対戦。24得点を挙げた比江島慎を中心に5人が2桁得点を挙げ、ベンチポイントでも大きく差をつけて91-73と快勝。開幕節で連敗を喫した相手に見事なリベンジを果たした。

第1クォーター、千葉Jは渡邊雄太がいきなり3本の3ポイントシュートを決めて先手を取るが、宇都宮はグラント・ジェレットを中心にやり返し、出だしは18-18と互角。第2クォーターはサイズの優位を生かした宇都宮がゴール下から確率良くシュートを決めていくが、千葉Jも食い下がり、宇都宮の6点リードで前半を終えた。

第3クォーター、宇都宮はファウルトラブルに陥り、このクォーターだけで11本のフリースローを献上。そして富樫勇樹と渡邊の2人に計19得点を許し、流れを失いかける。だが、第4クォーターに入ると、比江島、D.J・ニュービルによるリーグ1のスコアラーコンビが本領発揮。2人で計20得点を挙げ、千葉Jのディフェンスを粉砕する。また、最後まで強度の高いディフェンスを継続して千葉Jに次々とタフショットを打たせ、第4クォーターを26-12と圧倒することで上位対決に快勝した。

この日、40歳の誕生日を迎えた宇都宮の竹内公輔の個人記録は、0得点4リバウンド1アシスト1スティール。スタッツに目立つところはなかったが、先発として20分16秒にわたってコートに立ち、チーム戦術を着実に遂行するミスのない堅実なプレーで、いつものように縁の下の力持ちとして活躍した。

外国籍の大半がビッグマンのBリーグにおいて、竹内は安定したプレータイムを得ている数少ない日本人ビッグマンだ。宇都宮にはギャビン・エドワーズというリーグ屈指の帰化ビッグマンがいるが、近年は故障欠場も増え、1試合平均のプレータイムは約20分程度にとどまる。それでも外国籍ガードのニュービルがフル稼働できているのは、竹内が外国籍ビッグマンを相手にしても穴になっていないからこそ。レギュラーシーズンMVPを獲得した昨シーズンに続き、今シーズンもニュービルが圧巻のハイパフォーマンスを続けてられるのは、竹内の数字に出ない献身があってこそと断言できる。

竹内のすごさは、40歳になってもプレーの質の低下を全く感じさせないことだ。もちろん20代に比べると身体能力は落ちているが、そのマイナスを持ち前の高いバスケットボールIQと、豊富な経験を生かした頭脳的なプレーで補い、今もBリーグ初期と変わらない質の高いプレーを続けている。

宇都宮と日本代表で長らく一緒に戦っていた比江島に竹内のすごさを聞くと、「若い時はもっとアスレティックなプレーをしていたと思いますが、今は経験を重ね、自分がやらないといけない役割をしっかりと理解してプレーしています。プレーのミスはほぼないですし、基礎が一番できていると思います。それによって変わっていくバスケットボールスタイルにも対応し続け、長年、日本のバスケットボールを引っ張ってくださっています」と絶賛し、最後に「そこは少し尊敬しています」とはにかみながら答えてくれた。

竹内公輔

「間違いなく終わりが近いなとは感じています」

見事、バースデーゲームを勝利で飾った竹内は、「開幕2連敗した相手にホームで絶対に負けたくない、という気持ちをみんなコートで出せたと思います。チームスタッフが素晴らしいスカウティングをしてくれたおかげで、うまくいったと思います」と振り返る。40歳になってもトップレベルで活躍を続ける秘訣を「とりあえずケガをしないこと、あとは食生活に気をつけています。若い選手がジャンキーなものを食べているのを『そのうち食べられなくなるよ』と思いながら見ています」と語った。

外から見ていて、ここ4〜5年のスパンにおいて竹内のパフォーマンスに変化を感じることはない。だが、本人はさすがに衰えを感じているという。「特に筋力低下の部分はすごく感じていて、ウエイトトレーニングで『3年前、この重さは余裕で上がっていたのにな』という重さが上がらなくなったりしています。Bリーグになって試合数が多くなり、シーズン中にあまりトレーニングできなくなっていることも影響していますが、速く走れなくなったり、高く跳べなくなったりということは、ここ3年、4年ですごく感じています」

そういった衰えに直面する中でも、質の高いプレーを継続できている大きな理由を、竹内は「試合に出させてもらっているからモチベーションを保てている部分はあります」と続ける。

「ずっとベンチにいて、勝敗が決まった時にしか出られないような状況だったら引退が頭によぎっていると思います。個人的には40歳までやれたらという思いでやっていて、今、40歳を超えてモチベーションを保てているのは試合に出させてもらっているところが大きいです」

今、宇都宮はケビン・ブラスウェルヘッドコーチが心臓疾患によって入院中と非常事態となっている。宇都宮では誕生日を迎えた選手、コーチ陣をスタッフのオリジナルバースデーソングで祝うのが恒例となっており、竹内もこの試合後に祝われていた。

「ケビンがこういう状況で自粛するかなと思っていたら、いつも通りマネージャーが歌ってくれました」とその時の様子を振り返った竹内は、ブラスウェルヘッドコーチが明るい雰囲気作りを大切にしていたからこそだと話す。「ケビンはものすごく明るくて情熱的で、いつも元気です。ケビンなら、自分のことでチームが自粛ムードとなるのは絶対に嫌だと思います。だからいつも通りの宇都宮ブレックスで戦おうという話しをしました」

竹内は、自身のキャリアについて「間違いなく終わりが近いなとは感じています」と語る。だが、今の彼は、まだまだトップレベルのプレーを見せている。そして、指揮官不在の宇都宮がいつも通りの戦いを継続していくために、竹内の存在は引き続き欠かせない。