ディアロン・フォックス

フィールドゴール35本中22本成功、球団記録を更新

デマー・デローザンとディアロン・フォックス。リーグ屈指のクラッチ力を持つキングスは、接戦の終盤に恐るべき勝負強さを発揮する。現地11月15日のティンバーウルブズ戦、その一人であるデマー・デローザンが背中の痛みで、シックスマンのマリーク・モンクも足首を痛めて欠場した試合で何か起こったか──フォックスの60得点だった。

故障者が多く、ドマンタス・サボニスとアレックス・レンを並べるツインタワーを先発に据えたが、ルディ・ゴベアとジュリアス・ランドルの前に機能せず。ケビン・ハーターはシュートタッチが悪く得点力不足を補えなかった。

第3クォーター序盤に20点のビハインドを背負ったキングスは、唯一の頼れる武器であるフォックスにこれまで以上にボールを集める。前半で21得点と好調だったフォックスは、第3クォーターに13得点、第4クォーターに20得点を挙げてキングスを立て直す。第4クォーターには他の選手もディフェンスで粘り強さを見せ、33-17と圧倒して115-115でオーバータイムに持ち込んだ。

しかし、一人の選手が50得点、60得点を挙げる時、その試合には往々にして勝てないものだ。後半にキングスの猛追を浴びたものの、第4クォーターの最後に逆転されずに踏ん張ったウルブズがオーバータイムでは再び優勢となり、延長の5分間を15-11で制して勝利した。ウルブズはジミー・バトラー不在のヒート、再建中のトレイルブレイザーズの連戦を落として3連敗中で、もう負けるわけにはいかなかった。勝負どころでアンソニー・エドワーズがフォックスに負けじと得点力を発揮。大混戦を勝ちへと持っていった。

フォックスはフィールドゴール35本中22本成功の60得点を記録。まだ球団がオハイオ州にあり、シンシナティ・ロイヤルズと呼ばれていた1960年のジャック・トゥィマンの59得点、サクラメント移転後のデマーカス・カズンズの56得点を上回るキングスの新記録だが、負けたのでは喜べない。フォックスは「60得点のチャンスなんていらなかった。第4クォーターの最後に一つリバウンドを取って勝てていれば、それで良かったんだ」と激戦を落としたことを悔やんだ。

それでも、フォックスの圧巻のパフォーマンスは間違いなく記憶に残るものだった。36得点で勝利の立役者となったアンソニー・エドワーズは、フォックスのマークを担当して何度も得点を許してもいたが、「あれだけ素早く動けて点の取れる選手とマッチアップするのは楽しいものだ。彼は僕とのマッチアップから逃げることなく攻め続けた。本当に楽しかった」と勝負を振り返り、フォックスのことが大好きだと続けた。

「僕はずっとフォックスのファンだった。彼はいつも正当な評価を受けていないと思っていた。僕にとって彼はリーグ最高のポイントガードの一人だよ。今日、彼はそれを証明したんだ。彼は何度も僕をかわして得点し、僕も何度かブロックショットを決めた。コート上の最高の選手が対決する。こんなに楽しいことはないよ」