カイリー・アービング

ドンチッチ「負けたことがモチベーションになる」

マーベリックスは充実の時を迎えている。若きスーパースターであるルカ・ドンチッチを擁し、経験豊富なカイリー・アービングとバックコートでコンビを組むことで昨シーズンはNBAファイナルに進出。その時点でチームは満身創痍となっており、優勝には手が届かなかったが、チームはいまだ成長過程にある。さらにはカイリーと並んで優勝経験のあるクレイ・トンプソンの獲得に成功し、本気でNBA優勝を目指せる体制が整った。

NBAファイナルでの敗退をルカ・ドンチッチは「他のシリーズとは全く違った。勝ちたかったけど、全体を通して見れば素晴らしい成果だったと思っている。負けたことがチームのモチベーションになる」と振り返り、そこから新たなスタートを切ろうとしている。

そしてクレイは『優勝請負人』としての期待に応えるつもりでいる。「僕がなぜここにいるのか。それはこのチームが優勝まであと一歩のところまで迫ったのを目の当たりにしたからだ。優勝のチャンスを再び得るのは簡単なことじゃないだろうけど、僕は全力を尽くしてチームの再チャレンジに貢献したい」

指揮官ジェイソン・キッドは「すべてはクレイ次第だ。1人の選手にすべてが左右されるのはクールな状況だね」とジョークを飛ばしたが、クレイは逆のことを考えている。「このチームにはルカとカイリーという2人のスーパースターがいる。だけど僕がこれまで優勝した時には毎回、チームはタレント揃いで選手層を強みにしていた」

カイリーも晴れやかな気分でシーズン始動を迎えた。ネッツ時代にはメディアとの対話を忌み嫌っていたが、今の彼はチームの誰よりも多くメディアと会話する。プレーだけでなくバスケ周辺の様々な出来事まで楽しむことで、彼のパフォーマンスは精彩を取り戻した。

クレイの加入について、カイリーは彼自身が勧誘に動いたことを明かす。「口説き落とすのは難しくなかった。僕がこの1年半で経験したことを考えれば、彼が受け入れられるのは明らかだったからね。ここ南部、ダラスの歓待ぶりは本物だ。僕はそれを伝えるだけで良かった」

昨シーズンの主力の多くが残り、クレイが加わった。優勝候補としてシーズンを迎えることにカイリーは興奮しているが、様々な経験をしてきたベテランだけに落ち着きも失ってはいない。「プレッシャーはルカとクレイと僕に集中するだろうけど、3人で分散できるのは助かるよ。僕らはそれぞれ得意なことが異なる。それらを組み合わせて勝利に結び付け、厳しい時期にも対応していくシーズンにしたい」

「すべて完璧、常に順調とはいかないものだけど、僕たちは落ち着きを失わず、お互いを信頼して、大きな何かにチャレンジしていることを楽しみたい。みんな優勝したいと言うけど、それを本気で信じている人はほんの一握りだ。だから僕らは全員が揺るぎない信念を持てるような関係性を築かなければいけない。それでもベテランと若手が一緒になって優勝を目指してスタートできることにワクワクしているよ」