消耗の激しいスタイルに耐えられるだけの選手層を作る
ニックスはランドリー・シャメットとの1年契約を結んだ。ベテラン最低保証額で、なおかつ未保証の契約ではあるが、他にも2チームからオファーを受けていたというシャメットがトレーニングキャンプに参加する以上、ニックスの15番目のロスター枠に残る見込みだと『SKY』は分析している。
シャメットは2018年の1巡目26指名のコンボガードで、キャリア平均成功率38.4%の3ポイントシュートが持ち味。セブンティシクサーズ、クリッパーズ、ネッツで堅実な働きを見せ、2021年に移籍したサンズで4年4300万ドル(約65億円)の契約延長を結ぶ。クリス・ポールとデビン・ブッカー、ベンチにはキャメロン・ペインが控えるサンズの4番手のガードとしては高額な契約を提示されたのは、シューターとしての彼に大きな期待が寄せられていたからだ。
ただ、サンズでの挑戦は長続きしなかった。昨年オフ、ブラッドリー・ビール獲得のためのトレードでウィザーズに送られたのだ。再建中で若手を重用するチームでシャメットは居場所を得られず、46試合に出場しただけ。7.1得点、3ポイントシュートの試投数3.4と成功率33.8%はいずれもキャリア最低の数字で、シーズン終了後に解雇されていた。
そんなシャメットの新天地はニックスとなる。ニックスのガード陣はジェイレン・ブランソンとミケル・ブリッジズに、ドンテ・ディビンチェンゾ、マイルズ・マクブライド、キャメロン・ペインと層が厚い。それでもトム・シボドーのバスケは選手を大きく消耗させる苛烈なスタイルで、昨シーズンはプレーオフに入ってケガ人が続出。ローテーションに加わる選手層を厚くし、戦い方のバリエーションを増やすことで、ガード陣全体のコンディションを少しでも高く保つことが優勝へのカギとなる。そういう意味で他の選手とはタイプの異なるシャメットの獲得には意味がある。
シャメットの契約が保証されればニックスのロスターは埋まる。アイザイア・ハーテンシュタインの退団でセンターの層が薄くなっているが、ここが問題であれば来年2月までにトレードで解決策を探ることになるだろう。
昨シーズンはカンファレンスセミファイナルでペイサーズに敗れたが、コンディションを保つことができればこのチームはもっと先まで行けるはず。そのための準備は着々と進んでいる。