トラジャン・ラングドンが新たな運営担当社長に
ピストンズは14勝68敗という悲惨なシーズンから再スタートするにあたり、トラジャン・ラングドンを新たなバスケットボール運営担当社長に据えた。ラングドンは自分のコネクションから新GMを任命するため、2020年からGMを務めていたトロイ・ウィーバーをスカウト部門に移そうとしたが、ウィーバーはこの提案を断ってピストンズを去ることになった。
ウィーバーはサンダーでサム・プレスティGMのアシスタントを長年務め、現在に至るチームの基盤を作った手腕を買われてピストンズにやって来た。彼が託されたのはチームの再建で、数年をかけて若い才能を中心に据えた『第2のサンダー』を作るはずだった。しかし、彼の在任4シーズンでピストンズは低空飛行を続け、ロスターは若返ったものの強くなる気配はいまだ見られない。今シーズンは過去最悪の成績に終わり、28連敗という不名誉なNBA記録を作った。
就任当初のウィーバーは、ピークを過ぎたブレイク・グリフィンとデリック・ローズは放出せずに復活を待つ一方で、再建の軸となるはずの当時の若手、ルーク・ケナード、トニー・スネル、ブルース・ブラウン、セクー・ドゥムブヤ、クリスチャン・ウッドを次々と放出。こうして得た指名権を使って多くのルーキーを迎え入れたが、期待通りの成長は実現していない。
最悪の例は2020年のNBAドラフトで、キリアン・ヘイズ、アイザイア・スチュワート、サディック・ベイの3人を1巡目で指名したが、ベイはジェームズ・ワイズマンとトレードされ、ヘイズは今年2月にウェイブされた。唯一残ったスチュワートは4年目を終えたがケガが多く、ポテンシャルを発揮しきれていない。
それは翌2021年の全体1位指名選手であるケイド・カニングハムも同じで、勝てないチームで無理をしてケガを重ねている。2022年加入のジェイデン・アイビーとジェイレン・デューレン、ルーキーシーズンを終えたアサー・トンプソンの評価はまだ先となるが、即戦力と呼ぶには物足りない。
サンズをドアマットチームから優勝候補へと引き上げたモンティ・ウィリアムズを指揮官に迎え入れたことも効果はなかった。モンティがウィーバー退任とともにチームを離れるのだとすれば、6年総額7850万ドル(約120億円)の長期契約が重く圧し掛かってくる。
ピストンズのオーナー、トム・ゴアズは「誤解のないように言うが、私はトロイの仕事ぶりに心から感謝している」とコメントしたが、彼がピストンズに残したポジティブな要素は6000万ドル(約90億円)以上のキャップスペースぐらいだ。
ラングドンは新たな仕事に取り掛かることに興奮し、こう語っている。「ピストンズには素晴らしい伝統と歴史がある。ファンの熱意に報いるためにも、その新たな伝統を築いていきたい。サラリーキャップの余裕、5位指名権と2巡目指名権、若いタレントという組み合わせは、チーム強化に最適だ。ドラフトとそれに続くチーム強化の準備を、すぐに始めるつもりだ」