ビクター・ウェンバニャマ

勝負どころでターンオーバーを連発して逆転負け

そう簡単に勝てると思っていたわけではないが、それでも負けが続けば楽しくはない。タイラー・ヒーローが足首を痛めて欠場し、2日続けての試合だったためにカイル・ラウリーもプレーしなかったヒートに対し、快調に飛ばすスパーズは第2クォーター早々に19点差をつけていた。ところが前半のうちにリードのほとんどを溶かし、第3クォーターに逆転され、第4クォーターには再びリードを奪うも最後にひっくり返された。

残り2分18秒、ジェレミー・ソーハンの得点でスパーズは110-109とリードを奪い返したが、その後はザック・コリンズが不用意なパスをバム・アデバヨに奪われ、デビン・バッセルがまだショットクロックが10秒あるにもかかわらず自らタフショットを選択して外し、ケルドン・ジョンソンはジミー・バトラーのプレッシャーに煽られてボールを失う。勝負どころでターンオーバーを連発したスパーズは、接戦を演じていたはずが気付けばファウルゲームをせざるを得ない状況に陥り、結果として113-118の逆転負けを喫した。

第4クォーターのターンオーバーは、スパーズの6に対してヒートはゼロ。開幕からここまで、スパーズは終盤の試合運び次第で勝てた試合がいくつもあった。この試合ではトレイ・ジョーンズがハムストリングを痛めて欠場。先発ポイントガードのソーハンはもともとフォワードの選手で、ゲームをコントロールできるガード不在の状況では、スパーズの弱点はより際立った。

さらに言えばヒートは、シュートタッチが悪かった前半にフリースローで得点を繋ぎ、後半もそれを継続。試合を通じて30本のフリースローを得て28本を決めている。グレッグ・ポポビッチが敗因に挙げたのもその2つ。特に不用意なファウルについては「決まったルールを遂行できていない」と嘆いた。

注目の全体1位指名ルーキー、ビクター・ウェンバニャマは18得点11リバウンド7アシスト1スティール1ブロックを記録。それでもチームの課題であるターンオーバーで彼個人も7を記録している。

「ヒートはNBAファイナル進出を果たした経験豊富なチームだ。僕らにとっては修正すべき課題がたくさんみつかった試合だったよ」とウェンバニャマは言う。いつになく不機嫌そうな表情ではあるが、あくまで前を向いて彼はこう話した。「負けた悔しさがモチベーションになると思っている。僕だけじゃなく、ロッカールームでは誰も下を向いちゃいない。だから僕らはここにいるんだ。僕自身も常にアグレッシブでありたい。それが必要なことだと思っているからね」

ヒートのアデバヨは24得点11リバウンド7アシスト3スティールを記録し、ターンオーバーはなかった。機敏に動けてスキルのある万能型ビッグマンとして、同じタイプのウェンバニャマに経験の差を見せ付けた形となったが、そんな周囲の見方に「彼はルーキーだよ」と釘を刺す。「ポポビッチとも話したけど、彼はまだ自分のルーティーンもこれから見つけなきゃいけない選手だ。そんな中、みんなの期待に応えようとベストを尽くしている」

ポポビッチも、ウェンバニャマを始め選手たちのミスを咎めるつもりはない。「みんな試合を重ねるごとに賢くなっているよ」と指揮官は言う。まだまだスパーズは形になっていない。それでも、この悔しい経験が大きな何かに繋がるはずだ。