「前半の最初、僕のミスからランをされて相手に勢いを与えてしまいました」
2月5日、横浜ビー・コルセアーズは千葉ジェッツと対戦。河村勇輝を起点とした得意の速攻を繰り出す場面は何度もあったが、フリースローを30本与えたように千葉Jの強力インサイドアタックを止めきれず、82-93と前日(75-98)に続く大量失点で敗れ、無念の同一カード連敗を喫した。
試合の立ち上がり、横浜BCは河村が千葉Jの激しいディフェンスを受け2ポゼッション連続でパスカットされると、両方とも速攻からの得点に繋げられ5-11と先手を取られてしまう。ここから河村が連続得点でやり返して盛り返すが、千葉Jに確率良く3ポイントシュートを決められ20-31と主導権を握られた。
第2クォーターに入ると、横浜BCはディフェンスを立て直すことで千葉Jのオフェンスを食い止める。しかし、千葉Jに要所で決められることで自分たちに流れを引き寄せることができず2桁のリードを許したまま前半を終えた。それでも、第3クォーターに入ると横浜BCは河村のボールプッシュから繰り出されるトランジションによる怒涛の連続得点で57-56と一気に逆転。それでも、終盤に千葉Jの外国籍選手によるインサイドアタックを止められずにリードを奪い返されてしまった。
第4クォーターになっても試合の状況は変わらず。横浜BCは河村とチャールズ・ジャクソンによるホットラインでなんとか食い下がるが、このクォーターで4人が5得点とボールをシェアする千葉Jのチームオフェンスを止められず、多くのオフェンスリバウンド、フリースローを与えてしまうことで得意のトランジションに持ち込めないも響き千葉Jに押し切られた。
本日、河村は25得点12リバウンド3アシスト2スティールと、14得点5アシスト1スティールに終わった前日を上回るパフォーマンスを披露。ただ、一方でフィールドゴールは18本中7本成功に留まり、ターンオーバーも6つと多かった。それもあって河村は、このように試合を総括する。「前半の最初、僕のミスからランをされて相手に勢いを与えてしまいました。第3クォーター、自分たちの時間帯を作りましたが、前半の点差がすごくもったいなかったと思います。千葉Jさんは自分たちが追い上げても冷静にプレーして、着実にゲームプランを遂行していました。それが千葉Jさんの強さだと思います」
「Bリーグでこういった経験をさせてくれた千葉ジェッツさんにはすごく感謝したい」
横浜BCと対戦するチームはどこも河村を少しでも抑えようと様々な対策を講じてくるが、その中でも今回の千葉Jは外国籍のヴィック・ローをマークにつける他のチームとは違う作戦を行い、それが見事にハマった。大半のビッグマン相手なら河村はスピードのアドバンテージを生かし1対1で優位に立てる。しかし、ローは201cmのサイズと抜群の機動力、さらにリーチの長さを武器に1対1からの河村の高速ドライブやそこからのレイアップに反応できる。それ故に、河村と対峙しても間合いを詰めてディフェンスすることで、プルアップシュートに対してもチェックにいける。1番から5番までカバーできる守備のオールラウンダーのローがいるからこそできた河村対策だった。
河村は、ローのマークについてこう語る。「能力があり、自分の速さにもしっかり対応してくる脚のある選手だと思いました。すごくこの2日間タフだったと感じています。ロー選手につかれることで、いつもなら普通にパスできるところでワンテンポずらしたり、一つドリブルを多くしてズレを作ってパスをしないといけない。そうしていつもとは違う状況となり、パスの精度が落ちてしまったのは今後の課題だと思います」
だが、一方で本日のスタッツが示すように「ズレを作れることはできていたので、一瞬のズレからシュートを決めたり、ドライブして相手のファウルを誘っていくことを2試合目は大切にしていました。少しずつ対応できたと思います」と、この短期間でこれまでにない難敵のマークにアジャストする進化も見せた。
また、将来的にはBリーグより上のステージで活躍することも目指している河村にとって、今回のロー対策は貴重な経験となったと続ける。「すごく良い経験になりました。世界で通用していく選手になるのが僕の目標であり、夢です。世界に出ればどのチームを相手にしても、僕よりもサイズがあって機動力もある選手がマッチアップしてきます。Bリーグという舞台でこういった経験をさせてくれた千葉ジェッツさんにはすごく感謝したいと思います」
リーグ最高勝率の千葉Jが相手とはいえ、ホームでの連敗は横浜BCにとって痛恨の結果だ。それでも、河村や横浜BCにとって今後の成長に繋がるいろいろなヒントを得ることもできた。河村は課題と収穫をこう語る。
「リーグトップの千葉Jさんとの差がこの2試合でわかりました。僕たちの現在地はまだまだ下です。でも(23点差で敗れた)1試合目とは違い、2試合目はいろいろとアジャストして点差だけでも戦えた部分はありますし、第3クォーターにひっくり返すこともできました。このプレーを前半からやっていくことが大事です。トップチームと戦うためにはリードをされて追いかけていく展開を続けるようでは勝機が見えてきません。最初からとにかく僕たちが相手にプレッシャーをかけていくことが必要だと思います」
そして河村は「この連敗を生かすも殺すも自分たち次第です」とやられっぱなしで終わらないと力強く語った。今回の悔しさを糧にどんな成長を遂げていくのか。河村と横浜BCの1週間後は見逃せない