3ポイントシュートの意識を高めないと「オフェンスにズレが生じてしまう」
バスケットボール女子日本代表は8月11、12日に行われた『三井不動産カップ2022(宮城大会)』でラトビア代表に2連勝した。第2戦後のミックスゾーンに対応した宮澤夕貴には彼女、そして日本代表にとって大きな武器である3ポインシュートに関する質問が多く寄せられた。
この日の日本代表はラトビア代表に74-48と大勝したものの、宮澤は約18分の出場で3ポイントシュート5本中1本成功のみの3得点に留まった。自身の出来について問われた宮澤は「(自分が)3ポイントシュートを打てるシーンが多々あったと思う」と振り返った。「今、いろいろやろうとしているけど、やっぱりファーストオプションを3ポイントシュートにしていかないとチームのオフェンスにズレが生じてしまう。もっと気持ち良く打ち切らなきゃいけないと思います」
宮澤が『いろいろやろう』とするようになったのは、指揮官の変更によるところが大きいだろう。前ヘッドコーチのトム・ホーバスは、選手一人ひとりの役割をかなり狭く絞り、それに集中させていたが、恩塚亨ヘッドコーチは置かれた状況に対する最適な選択を求める。
「トムさんのときは、3ポイントシュートを打たなかったらベンチに下げられるような感じ。ある意味、3ポイントシュートとディフェンス、リバウンドをやっていればOKでした。だけど今は、役割が3ポイントシュートだけじゃなくて、ボールを持った時にはピックプレーやドライブなどいろいろな選択肢があります。だからこそ、ちょっと迷うところはあります」
宮澤は直面している壁についてこのように明かしたが、「でも、自分のこれからのステップアップのために必要なことだと思う」とポジティブにとらえ、「最初は3ポイントシュート、次にドライブといったようにプレーの選択を磨いていきたいです」と、これをクリアするビジョンも見えている。
「このままではいけないという思いもありつつ、大丈夫だろうなとも思う」
チームを東京五輪で銀メダルに導いたホーバス前ヘッドコーチのスタイルを踏襲するように、現在の恩塚新体制も『3ポイントシュート成功率40%』という目標を掲げている。ここ最近の公式戦ではこの確率が30%台にも満たない試合がいくつか続いたが、この第2戦では久しぶりに40%に近い確率(38.9%)に到達した。
チームのシュート力について問われた宮澤は「ここまでくれば、あとは選手個々の自信だと思う」と答えた。ただ、「シューティングのレベルや個々の練習時間も増えているし、練習では確率が上がっているので、そんなに心配はしていなかった」とコメントしつつも、公式戦でその力を発揮できなかったことに対しては「ちょっと残念。自分たちはもっとできるのにという思いもあります」と、もどかしさを吐露した。
それでも自分、そして仲間たちの備えるポテンシャルを宮澤は信じている。「自分たちはもっとできると思うし、3ポイントシュートの確率も絶対高くできると思います。このままではいけないという思いもありつつ、大丈夫だろうなとも思うんです」
ワールドカップの開幕まで1カ月を切った。肩のケガに悩まされた東京五輪前とは異なり、宮澤のコンディションは良好だ。「気持ち良くプレーに集中できているし、基礎の身体作りにも初めてじゃないかというくらい取り組めました。あとは自分のプレーの質を上げていくだけだと思っています」
心身ともに充実している宮澤。ワールドカップという大舞台で、さらに進化した彼女のプレーを見るのが楽しみだ。