ジョン・ウォール

ロケッツはケビン・ポーターJr.とジェイレン・グリーンを優先

ロケッツはここに来て3連勝を記録しているが、4勝16敗と西カンファレンスの最下位に沈んだまま。ダニエル・タイスを先発から外し、セカンドユニットの軸だったアルペラン・シェングンもプレータイムを減らしてスモールラインナップを採用。ベテランのエリック・ゴードンにプレーを任すことが増え、このローテーションの変更が3連勝に繋がった。

そして今、ジョン・ウォールに復帰の可能性が出てきた。昨シーズン開幕前にラッセル・ウェストブルックとのトレードでウィザーズからロケッツに加入したウォールは、今シーズン開幕前にフロントと話し合い、トレードを見据えて試合出場を見送ることになった。ケガ明けで2シーズンぶりにプレーした昨シーズンは40試合に出場して平均20.6得点、6.9アシストを記録。もはや再建中のロケッツでプレーする意味は彼になく、チームも若手にプレータイムを与えるべきだと判断しての合意だった。

ところが、2年9100万ドル(約100億円)を超えるウォールの契約を引き取るチームは出てこない。開幕から1カ月が過ぎ、状況が変わらないことで、ウォールはロケッツに試合出場の意思があることを伝えたと『ESPN』が報じている。

ただ、ここで両者は合意できていない。ロケッツには将来を担うガードコンビ、3年目のケビン・ポーターJr.とドラフト2位ルーキーのジェイレン・グリーンがおり、彼らの成長のために優先してプレータイムを与えたい。2人とも平均30分以上プレーしているが、ロケッツとしてはそこには手を付けず、ポイントガードの2番手として12.4分プレーしているDJ・オーガスティンをウォールに置き換えたい。ウォールがチームを助けたいと言ってくれるのは結構だが、求めるのはベンチから出てチームを支える『ベテランの役割』なのだ。

ウォールはそれを受け入れない。これまでNBA613試合に出場した彼がベンチスタートだったのは、ルーキーシーズンの5試合、3年目の7試合だけ。責任感の強さはプライドとなり、ベンチスタートを受け入れない。ケガでプレーできない時期が長かっただけに、今後のキャリアをより良いものにするため「先発としてチームを引っ張ることができる」ことを示す必要もある。

しかし、昨シーズン40試合に先発しても、どのチームも彼の獲得に手を挙げない。ウォールはこの事実を受け入れるべきだ。デリック・ローズがそうであるように、ベンチから出る『ベテランの役割』でも周囲の尊敬は勝ち取ることができる。

ヘッドコーチのスティーブン・サイラスは、ウォールに出場の意図があることを認めた上で「準備にはまだ時間がかかる」と語るに留めている。ロケッツは若手を育て、来るべき時期に備えた基盤作りの最中。ウォールはその中での役割を受け入れ、信頼を積み重ねる必要がある。いずれにしても、プレーオフ進出チームに移籍したいと思えば、セカンドユニットでのプレーは避けられないだろう。ロケッツでその変化を受け入れることが、彼のキャリアを再び動かすための近道だ。