トゥマニ・カマラ

遅咲きの25歳が4年8200万ドルの大型契約を勝ち取る

NBAは好景気の最中にあり、サラリーキャップは年々大幅に伸びているものの、ルール変更の過渡期にある今は若手選手が割を食う形になっている。どのチームもサラリーキャップに余裕がなく、『将来のエース候補』以外には若手との契約延長に消極的だ。

そんな状況だからこそ、トゥマニ・カマラはトレイルブレイザーズからの4年8200万ドル(約130億円)の延長契約オファーを受け入れ、開幕を前にモチベーションは最高潮となっている。

カマラは言う。「代理人がジョー・クローニン(ブレイザーズGM)と交渉していたけど、進捗は何も知らなかった。だから代理人から電話をもらった後、20分は飛び跳ねていたよ(笑)。信じられなかったし、この気持ちをどう説明したらいいのか分からない。でも、僕のキャリアにとって一番ポジティブな出来事なのは間違いないよ」

ベルギー出身のカマラは、アメリカの大学で4年間プレーした後、2023年のNBAドラフトでサンズから2巡目で指名された。デイミアン・リラードを中心とする大型トレードの『些細な一部』として加入したブレイザーズでNBAデビューを飾り、再建中のチームで得たチャンスを生かしてエースキラーとして台頭した。まだNBAで2シーズンを過ごしただけだが、遅咲きの彼はもう25歳だ。それだけに、このタイミングで大型契約を得られた喜びは計り知れない。

「最高にうれしいよ。僕はブレイザーズで長くプレーすることを望んでいて、フロントも同じ判断をしてくれた。この2シーズンで僕はものすごく成長した。他の場所ではこうはいかなかっただろう。僕は常に目の前のことだけに集中して、給料のことや自分のキャリアがこの先どうなるかとか考えずにやってきたけど、こうして積み重ねてきた努力が評価されると誇らしい気分になれる」

ブレイザーズはカマラに続き、4年目を迎えるシェンドン・シャープとも4年9000万ドル(約140億円)の契約延長で合意している。カマラはこれも自分のことのように喜んだ。「シェイ(シャープ)は一緒に歩んできた仲間だ。2人とも努力が認められて、次の4年も一緒にいられるのは素晴らしいよ」

勝敗より育成を優先する再建期だからこそ大盤振る舞いが可能だったとも言えるが、カマラもシャープも成長にフォーカスしてブレイザーズ首脳陣の信頼を勝ち取った。カマラは武器であるディフェンスでリーグの新星と認められ、同時に昨シーズンは11.3得点、3ポイントシュート成功率37.5%とオフェンスでもチームに貢献できる選手になりつつある。シャープも昨シーズンはアンファニー・サイモンズに次ぐ18.5得点を記録。指揮官チャウンシー・ビラップスの要求に応えてディフェンスも向上している。

若いチームには伸びしろしかないが、勝ちたいのは『いつか』ではなく『今』だ。カマラもシャープも、大型契約に見合った選手となり、その自分をさらに超えていくべく努力を惜しまないはずだ。