「いつだってハードに全力でプレーするのが僕のスタイル」
トゥマニ・カマラはベルギー出身の23歳。2023年のNBAドラフトでサンズに2巡目指名を受けたが、デイミアン・リラードを中心とするバックス、サンズ、トレイルブレイザーズの3チーム間トレードでトレイルブレイザーズに移ることになった。当初の思惑とは違う形でのNBAデビューとなったが、「ちょっとバタバタしたけど、何も問題はない。NBAという夢の世界にいることに変わりはないから、これから何が起きるか楽しみで仕方ない」とNBAでの挑戦に乗り出した。
指名を受けたのはサンズだったが、ドラフト前にはブレイザーズのワークアウトにも参加しており無縁ではなかった。「その時点で、ここの人たちの親切さには好印象を持っていたんだ。ワークアウトはすごく上手くいったんだけど、それはここのみんなが作り出すフレンドリーな雰囲気のおかげだと感じた」とカマラは言う。
「まさかトレードされるとは思わなかった。そんな可能性があることすら知らなかった。ルーキーだからあまり視野を広く取る余裕はなくて、毎日の練習のことしか考えていなかった。トレードはショックだったけど、適応して新しい環境に慣れてみせると気持ちを切り替えた。それが僕に求められることだからね」
驚天動地のトレードから1か月半が経過した今、カマラは上々のスタートを切ったと言える。ブレイザーズでの立場はジェレミー・グラントに次ぐパワーフォワードの2番手で、スモールラインナップを敷く時にはスモールフォワードとしてもプレーする。体格の良さと運動能力、新人ではあってもバスケIQが高く成熟したカマラは、がっちりとローテーションに食い込んでいる。
開幕からここまで7試合すべてに出場し、6.3得点、4.6リバウンド、1.3アシストを記録。突出したスタッツを残しているわけではないが、契約を得ることさえままならない2巡目指名選手の中で、24.6分のプレータイムを得て、早くも周囲の信頼を勝ち取っているカマラは特別な存在と言っていい。
キャリア8年目のベテラン、マルコム・ブログドンは「どんな相手でも一歩も引かず、激しいディフェンスで食らい付いていく。その実力に疑いの余地はないよ」とカマラへの信頼を語る。「いつも謙虚で、準備万端で試合に臨む。些細だけど大事なことを疎かにせず、そこに一生懸命取り組む。そうういう選手はチームにとってとても大事なんだ」
スモールラインナップであれば、1番から5番までディフェンスに付くことができるのが彼の持ち味。「複数のポジションを守ることができ、いつだってハードに全力でプレーするのが僕のスタイルだ」と彼は言う。「ディフェンスでもオフェンスでも、チームが求めることをすべてやる。いろんなプレーができるつもりだけど、考え方はシンプルだ。自分がどれだけ負けず嫌いか、どれだけ挑戦を愛しているか。それを意識しながら、正しいプレーを選択していくことを心掛けたい」
彼とともにサンズからブレイザーズへと移籍してきたディアンドレ・エイトンは、カマラのことを『秘密兵器』と呼ぶ。ブレイザーズでは1巡目3位指名のルーキー、スクート・ヘンダーソンに大きな注目が集まるが、『秘密兵器』のカマラも注目に値する。