デビッド・アデルマン

球団社長の称賛「彼は選手たちとともに成長してきた」

ナゲッツはカンファレンスセミファイナルでサンダーと『GAME7』まで続く死闘を演じ、敗れた。その数日後、ジョシュ・クロエンケ球団社長はシーズン総括の会見を開いた。「6週間ぶりだ」と彼は言った。あまり表に出てこないクロエンケだが、その時にはマイケル・マローン解任を発表している。

「あれから多くのことが起きた。解任の決断やタイミングに疑念はあっただろうが、チームが見事に結束してくれたことを誇りに思う」

ここで彼は、暫定ヘッドコーチを務めたデビッド・アデルマンが正式にヘッドコーチに就任することを発表した。「彼がチームを結束させた手法は素晴らしいものだった。彼は2017年にここに来て、選手たちとともに成長してきた。6週間前は外部からヘッドコーチを招くことも考えていたが、彼の指導力を見て決断した。彼は選手たちを高いレベルに挑戦させつつ、励ますことができる。決して簡単なことではないが、彼は立派にやり遂げた」

アデルマンはティンバーウルブズで5年、マジックで1年アシスタントコーチを務め、ナゲッツでは8年目が終わったところ。44歳と若いが、殿堂入りコーチであるリック・アデルマンの息子として、幼い頃からNBAチームの練習場に入り浸り、NBAプレーヤーとともに成長してきた。マローンのやり方は知り尽くしており、そこに自分のエッセンスを加えることで、完璧なケミストリーを持つチームを解体せずにマンネリから脱却できる。

早々にヘッドコーチ人事を決めたのは、アデルマンが自分のコーチングスタッフを編成する必要があったからだ。一方でクロエンケ球団社長は、カルビン・ブースGMの後任をいまだ決めておらず、「慌てる必要はないと思っている」と語り、アシスタントGMに当面の仕事は任せるつもりだ。

これは今オフに大きなチームの刷新を考えていないことを意味する。サラリーキャップに余裕はなく、ロスターの柔軟性もほとんどないが、主力のほとんどはまだ契約を複数年残し、波乱なく継続路線を進むことができる。ニコラ・ヨキッチを中心に、彼と長くプレーしてきたチームは、そのままでも十分な競争力がある。まずはアデルマンに託し、マローンの路線を継続しつつ、必要な軌道修正を入れていくことになりそうだ。

「みんなナゲッツでプレーしたがっている」

ヨキッチが最初のMVPを受賞する前から、彼が特別なことは分かっていた。ヨキッチがいる間に優勝したい、そのために彼と我々が同じ方向を向いて前進しなければいけないと思ってきた」とクロエンケ球団社長は語る。

「我々はアーロン・ゴードンを獲得した時に、本気で優勝を狙えるチームになったと思う。だが、その数日後にジャマール・マレーが膝に大ケガをして、実質2シーズンを棒に振った。その翌年に優勝して、その後は2年連続でセミファイナルで『GAME7』を落としてシーズンを終えている。これは、アデルマンが目の前の試合をどう勝つかと考えるのとは全く別の次元の話だ。フロントはこの先の12カ月間、24カ月間で優勝を狙えるチームを作らなければならない。私は球団社長として、信頼できるスタッフに仕事を任せつつ、必要な時には介入していくつもりだ」

今までは任せすぎたと彼は言う。そして、6週間前の現場介入がチームにもたらした変化に十分な手応えを感じている。「このチームの転換期に不安を感じているファンは、ずっと昔からナゲッツを応援してきて、セカンドラウンド敗退よりずっとひどい時代を経験してきた人たちだ。もし私が様子見を決め込んで、チームがそのまま進んでいたら、深刻な事態が起きていたはずだ。おそらくチームはプレーインに行き、すぐに敗退していただろう。今のチームは6週間前よりもずっと安定していると感じている」

「ヨキッチを擁する以上は、『優勝しなければ』というプレッシャーがある。優勝しても2度目の優勝が欲しくなるもので、プレッシャーはなくならない。そういう時は、それ以前のことを思い出すんだ。プレーオフに行けなかった時代、『優勝しなければ』という重圧を背負って戦う他のチームがうらやましかった。今は確かに大変だが、恵まれているよ」

「このところオフになると選手からの売り込みがすごいんだ。みんなヨキッチと組めば自分の才能が最大限に引き出されると分かっていて、ナゲッツでプレーしたがっている。組織として大きく変化するタイミングだが、こういった要素を上手く活用していきたい。このチームがどう変化していくか。私自身がワクワクしているんだ」